- 作者: 山形石雄,前嶋重機
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/04/25
- メディア: 文庫
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楽園管理者の世界を武装司書の敵にする手段も、それほど斬新なものではないのですが、用い方が実に上手くて、そこまで至る過程が極めて精緻に計られており、既存の言葉に頼らざるを得ないのですが、まさしく度肝を抜かれました。しかし、そんな精緻な計画も、ノロティという不確定要素─最後まで楽園管理者は彼女の本質に気づいていなかったようですが─によって瓦解します。ノロティが、ほんの少しノロティでなかったら…もしくはノロティが別の誰かだったらきっと、楽園管理者の計画は完遂していたでしょう。彼女が彼女足りえる所以…よくいえば大らかさ、悪く言えば愚直さによって、武装司書は壊滅の危機から救われたのです。なんとなくですが、卓越した指し手であった楽園管理者が、盤上の駒を操るように事態を操作してきましたが、彼がいちいちノロティを脅威に思ったのは、ノロティの行動が読めなかったからなのですが、それって…やっぱりノロティが天然だったからなのでしょうか(笑)?いや、なんか文飾の限りが尽くされていますが、一言でいえばそうなんじゃないかと思ってしまいます(笑)。
楽園管理者が死に神溺教団は壊滅しました。しかし、新たな教団が作られ、世界はまたもとの形に戻って行きます。まだ、多くの謎が残されていますが、続刊で明らかになるようです。実に楽しみです。SD文庫は本当に宝を手に入れましたね…。
いや…しかし本当に、ノロティが死んでしまうとは思ってませんでした。まず、その巨大な驚きをつきつけられたのが、今回のストーリーの最大の成功なのでしょうかね。