戦う司書と荒縄の姫君 BOOK6 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と荒縄の姫君 BOOK6 (スーパーダッシュ文庫)

 いきなり度肝を抜かれます。てっきり、冒頭のストーリーの展開から言って、ノロティが主役のストーリーなのかなーと思ったわけなんです。いや、確かにノロティが話の主軸にいましたよ?でもね…まさか…いきなり彼女の死が告げられるとはっ!? さすがは戦う司書シリーズ…まさしく予想を裏切り、期待を上回る展開に度肝抜かれました。それからはもー、ノロティの本を読んで、彼女の足跡を追いつつ、遂げられなかったノロティの物語を完成させるため、エンリケが進む話と、世界を敵に回したバンドーラ図書館との戦いが交互に続き、謎解きのノロティ編と緊迫感で追い詰められていくバンドーラ図書館編の両方に、時間を忘れて読みふけりました。

 楽園管理者の世界を武装司書の敵にする手段も、それほど斬新なものではないのですが、用い方が実に上手くて、そこまで至る過程が極めて精緻に計られており、既存の言葉に頼らざるを得ないのですが、まさしく度肝を抜かれました。しかし、そんな精緻な計画も、ノロティという不確定要素─最後まで楽園管理者は彼女の本質に気づいていなかったようですが─によって瓦解します。ノロティが、ほんの少しノロティでなかったら…もしくはノロティが別の誰かだったらきっと、楽園管理者の計画は完遂していたでしょう。彼女が彼女足りえる所以…よくいえば大らかさ、悪く言えば愚直さによって、武装司書は壊滅の危機から救われたのです。なんとなくですが、卓越した指し手であった楽園管理者が、盤上の駒を操るように事態を操作してきましたが、彼がいちいちノロティを脅威に思ったのは、ノロティの行動が読めなかったからなのですが、それって…やっぱりノロティが天然だったからなのでしょうか(笑)?いや、なんか文飾の限りが尽くされていますが、一言でいえばそうなんじゃないかと思ってしまいます(笑)。

 楽園管理者が死に神溺教団は壊滅しました。しかし、新たな教団が作られ、世界はまたもとの形に戻って行きます。まだ、多くの謎が残されていますが、続刊で明らかになるようです。実に楽しみです。SD文庫は本当に宝を手に入れましたね…。

いや…しかし本当に、ノロティが死んでしまうとは思ってませんでした。まず、その巨大な驚きをつきつけられたのが、今回のストーリーの最大の成功なのでしょうかね。