武林クロスロード 4 (ガガガ文庫 ふ 1-4)

武林クロスロード 4 (ガガガ文庫 ふ 1-4)


悪政を敷く皇帝、バラカン・ルカンの治世……。
「双天武王になりなさい」その母親の言葉に従い、
双天武王杯北天戦への出場の為、修行を積み艱難辛苦を乗り越えてきたリョウカ。
帝都「八卦封」まで辿り着いた彼女達だが、さすがに容易く立ち入ることは出来ない。
帝都へ進入する手段を手にするため、ソウセンの街に立ち寄る一行だが…。
刻同じくして、帝国を揺るがす強大な力が動き出していることを知るよしもなかった。


ううう、なんかちょっとしたあらすじみたいなのってすごい難しいです(笑)。
まあ、それはともかく、すごく面白かった。かねてから思ってたことなんですが、


深見先生と読者(深見小説スキー)


の間には信頼がある。


と常々感じてきました。女の子と筋肉とバイオレンス。
それだけあれば何もいらない読者と、
それを喜んで用意してくれる作家。
これだけで、黄金の関係といえるでしょう。
だが、そこにRebis先生という、
それらをこよなく愛する絵描きが一極を担った瞬間、


深見先生=Rebis先生=読者という究極の三位一体が形成されるわけです。


この三位一体の信頼は、父と子と聖霊のそれに匹敵すると考えています。
そしてこの4巻では、それが余すことなく凝縮されていました。
つまり、読者である私はこの上もなく満足したというか、満たされたわけで(笑)。


今回は本当に盛りだくさんで、帝都についた時には、
獣神国の魔獣軍団を率いる火雲邪神クバンカサ
(たびたび名前が出てたシュンライの師匠)が、
帝都に侵攻し始めて激しい戦いの最中にありました。
大将軍ユゴ・ウーイン(珍しく男性。しかも老人。でも、やっぱりマッチョ)と、
クバンカサの死闘が、
床を踏み砕き、壁を貫き、囲む人々を散り飛ばす恐ろしい戦い(笑)。
六門器械の強力無比な武器を使っていたとはいえ、
ユゴ・ウーインの強さは尋常ではありませんでした。
正直、これまでの戦いと比較して、
レイ・シュンライがユゴに単身で勝利する姿が思い浮かびません。
ジャホウセンの金蚕功と同質の(防御である意味無敵になれる)、
菩薩捨身功を備えたクバンカサですが、
ユゴ・ウーインが六門器械に頼り切らなかったように、
クバンカサも彼女自身が駆け引きに長けた武侠であり、
尋常ではない強さのユゴに勝ってしまいました。
上にユゴにシュンライが勝てる姿が思い浮かばないと書きましたが、
クバンカサにも同様の事がいえます。こっからどう展開するのかと思ったら、
まさしく、ここが武林の別れ道となりました……。


私は常々、シュンライとリョウカは、
一旦は別れることになるだろうと思っていました。
現在、シュンライとリョウカの力量の差は、開きすぎていますし。
そのシュンライが叶わなかった、双天武王の座。
リョウカが現状のままでは、それこそ永久に手が出るものではないはずです。
エピローグで、2年後の成長したリョウカが出てきて、
シュンライは行方不明になっていると記されていました。
続きは…例によって未定のようです。
でも、このシリーズは深見先生作品の中でも、
屈指の名作になりえそうなので、
是非とも続編を作って頂きたいと思っています。
なにしろ、作者も挿絵画家も読者も楽しい小説って、
そうそうないでしょう(笑)……?