- 作者: 夢枕獏,伊藤勢
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/05/13
- メディア: コミック
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評価 9/10
うわぁ……読後に漂うこのやるせなさと、
わき上がってくるコンチクショウ、屈するもんかよッ!感が半端ないです。
結論から言うと、九十九乱蔵がいまの九十九乱蔵として依って立つ、
精神的な方向性が定まった話なんですが、
切ないというのか哀しいというのか、そういう感情を抱いたのに、
あのラストのポジティブさはなんなんでしょうか。
いい意味で、腹が立つ。やられたっ!!って感じです。
いや、腹が立つって言うより、なんかもっと別の感情の気がしますが。
2巻読んでから、1巻を読み直して、「ああ、こういう意味か」「最初読んだときと意味合いが変わるな」
と楽しめる物語で、伊藤先生半端ないと思ったものです。
しかしまあ、究極だの進化だのデカイお題目並べられた存在が、
実は膝を抱えて嘆き悲しむだけの、憐れな人でしかなく、人であるが故の強さによって、
絶対的な力を抑え込んで────というのは、哀しみに近い尊敬を覚えました。
良い短編でした。ありがとう、といいながらブラックニッカを空けたくなる本は久しぶりでした。
ホント。