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魔法少女プリティ☆ベル(1) (BLADE COMICS)

魔法少女プリティ☆ベル(2) (ブレイドコミックス)

魔法少女プリティ☆ベル(3) (ブレイドコミックス)

取りあえず突っ込まれる前に言っておきます。
表紙は詐欺です(笑)。
表紙という虚構を剥いだところに、
この漫画の深淵な姿が存在します。

評価　９／１０

物語の根源的な雛形って、単純化して素の形に戻してやると、１０もないという話があります。
そこに肉付けをしてあげたり、場所やら人種、登場人物を色々変えてやったりすることで、
物語を膨らませてやったりするわけです。
それでも、様々なコミックスやら小説が出ている昨今、
目新しさやインパクトを表現するのは、非常に難しくなっています。
この漫画と同じ衝撃を受けたのは、最近では、テルマエ・ロマエでしょうか。
まだまだ面白さっていう果実は存在するんだなぁと強く思ったものです。

まあ、能書きはともかくとして、魔法少女はミンキーモモ辺りから続く一ジャンルとして確立されていますが、
ミンキーモモ系の変身だけして日常的な事件を解決する系列から、
セーラームーンのように変身して戦闘をする路線のもの、
そしてプリキュアのように魔法少女という枠を遙かに超える、
ドラゴンボール的な戦闘を繰り広げるものまで出てきています。
エロゲまで手を伸ばせば、魔法少女シリーズはそのものずばり、
魔法少女アイとか名前を変え品を変えて、触手辺りとセットになって盛況なジャンルになっています。
なにを言いたいかというと、魔法少女ものはかなり掘り尽くされた鉱脈で、
もう、このジャンルで真新しいものをやるのは難しいと、私などは思っていました。

……そこで、まあ、このプリティ☆ベルに出会ってしまったわけです。
最初、ああ、インパクトだけを重視した、イロモノのギャグ漫画なんだろうなぁ。

,j;;;;;j,. ---一､ ｀ 　―--‐､_ l;;;;;;
　｛;;;;;;ゝ T辷iﾌ i 　 　f'辷jァ　 !i;;;;;
　 ヾ;;;ﾊ　　　　ﾉ　　　　　　　.::!lﾘ;;rﾞ
　　 `Z;i　　　〈.,_..,.　　　　　　ﾉ;;;;;;;;>
　 　,;ぇﾊ、　､_,.ｰ-､_',. 　 　,ｆﾞ: Y;;f 　　 そんなふうに考えていた時期が
　　 ~''戈ヽ 　 ｀二´ 　　 r'´:::.　`!　　　俺にもありました 

これ、簡単にいうと、悪魔と戦っている天使が、リィン・ロッドという魔法少女お約束の変身グッズを持って、
魔法少女に慣れる適格者を探しているとき、ボディ・ビルダー高田厚志にその適格者反応をみつけて、
色々な偶然と必然入り乱れる中、彼が魔法少女プリティ☆ベルに(誤字とかじゃなく)変身してしまうというお話です。
ここまで聞いても、まったくギャグだと思うのですが、
この高田厚志という人が、実にできた人だったりします。

外見は私好みのマッチョで、レンガを積み上げたような素晴らしいボディラインをしていますが、
およそ魔法少女という存在とは遠い人です。
少女じゃーないですし(笑)。
魔法少女になるというのも、本来の適格者が小学４年生の女の子で、
その子が悪魔と戦うという話を聞いて、それは可哀想だと変わってあげるという男らしさ。
そして、逞しい外面に誤魔化されそうですが、実にインテリジェンスと理性溢れるのが彼だったりします。
パッと見のインパクトを最大限に利用して、隙を突いたり不意を打って相手の戦意を刈り取る非戦主義者なのです。
実際、第一話と第二話は、それだけで話が進みます。
それだけで十分に面白いのですが、この漫画の凄いところは、その展開を早々に打ち切ることです。
普通の漫画だったら、それだけでラストまで持って行けます(笑)。
１巻で途中までほぼ無敵だった高田厚志兄貴が、ガチンコバトルの中で敗北してしまって、２巻へ続いたり。

その後は、悪魔達を率いる魔王達と会談を持ったり、天界に住む天使達の暗躍などなど、
様々な思惑や勢力入り乱れる単純な戦闘だけではない、交渉や駆け引きのバトルも繰り広げられます。
……単純に、スゴイと思いました。いや、語彙の少ない私ですが、通常のスゴイの１０倍くらいの意味合いがあります。
３巻辺りはちょっと登場人物が多くなりすぎるので、混乱する方もいらっしゃると思いますが、
読んでみて損はないというか、読まないと損じゃないかと思うので、是非読んで見て下さい(笑)。

本当は１０点あげたい所なのですが、イケメンの顔がたまに不安定になるので(笑)、
その辺りを頑張って欲しいという意味を込めて、９にさせて頂きます。
ベルベリオン様はなんというか、魔王という職責を離れれば、けっこう可愛い人なんじゃないかと思うので(笑)。