オーバーロード1 不死者の王

オーバーロード1 不死者の王



9/10


ネットで読めるものとは、登場人物が増えたり色々変更されていて、
バージョン2って言ってもいいかなーっていう感じの内容になっています。
イラストが、非常に雰囲気にあった美しいものになっているので、
その点だけでも買う価値があります。


ジャンルとすればいま人気の、ネトゲに取り込まれる・その世界に入るファンタジー物で、
強力無比な、無敵に近い能力を保有している最強系なんでしょうが、
私としてはナザリックという基地と、NPC達守護者という味方、
つまり軍勢ごと、どこかの世界に流れ着いた?(なのかネトゲの平行世界なのかはわかってません)
というのが面白くて、読み始めました。


作者さんは、サービス終了を迎えたネトゲに、
愛着を持っていた人がそれなりにいるであろう現在、
その辺りで共感を得て貰えばと、最後まで仲間達との絆に浸っていた、
主人公モモンガを冒頭で描かれたのではないかと推察しました。
私は比較的後発でネトゲを始めたもので、
現在の所自分でやめてしまったものはともかく、
サービス終了や、友人達が離れていって一人になる寂寥感は味わっていません。
私が共感したのは、たった一人、仲間達との冒険の跡に立ったモモンガに、
少年時代の私の姿が重なったことでした。


当時、森と言うにはつつましい、でこぼこな荒れ地の中に立った、
松の林が近所にあり、そこを基地にして学校の帰りから暗くなるまで、
小学生の頃は友人達とずーっと遊んでいたものでした。
新聞紙の剣やら松ぼっくりを投げ合って戦争をしたり、
木ぎれや板で、林の内部に基地を作ったりして、
あそこには仲間がいて、絆があったと感じてました。
小学五年生の時、住宅地ができるというので、林が潰されるまでは。
最盛期40人近かった基地のメンバーも、私と二人ほどになって、
立てこもったのですが、大人の力には適わずにひっぱりだされて、
もう、もの凄い怒られました。
後々から考えると馬鹿な真似をしたもんだと思いますし、
いまの私がその場所にいたら、恐らくは叱る側になってしまうのでしょう。
でも、当時の私は、あの場所を守る事もそうですが、
あの場所で仲間達と培った記憶を、思い出を大事にしたかったんじゃないか。
そう感じる部分があります。


なので、仲間達との絆の跡地に一人佇み、
そこから去ることができなかったモモンガの姿が、
当時の少年の頃の私に重なってしまって、
もう、web版をあっという間に読んでしまいました。


いわゆる最強物の部分は全面に押し出されていますし、
説明的な部分もあるので、好きではない方もいるんじゃないかと思います。
でも、私としてはその私自身の感傷の部分と、
私には妙に読みやすい説明部分が気に入ってしまって、
書籍を注文するに至ってしまいました(笑)。


web版がまだ読めますので、そちらが気に入ったら、
書籍を手にとって見るのもいいかもしれません。