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ああ──この日が来てしまうとは。
これ、魔王軍詰みだって状況ではありますけど、
もしもそれを潜り抜けて厚志さんや魔王軍が勝った場合、
綾香ちゃんって普通に殺されるんじゃないでしょうか。
感情的な面でいえば、イタカさん辺りに殺されてもおかしくはないでしょうし。
ジロウさんの意志をくめば、それはやっちゃいけないと思っても、
感情で動くならそこの所、仇を討ってしまいそうな気がします。
あと、ジロウ・スズキという個人戦では究極の一ともいうべき魔王を、
ほとんど偶然の状況が揃ってしまったとはいえ、破ってしまう個がいるという事。
エリちゃんの場合は強大すぎるand厚志さんという交渉に長けて個人戦闘力も強い大人がいたので、
魔王軍は交渉のテーブルについてしまったわけです。
ただ、綾香ちゃんは状況を知っていて守ってくれる大人が側にいません。
あと、綾香ちゃんって自分の意志でそれをやってしまっており、
今回のラストを見るとあの能力は危険すぎるので、
生かしておくリスクが非常に高いわけです。
ただ、ここは皮肉的な意味も込めて、
綾香ちゃんは生きてなんらかの贖罪をさせられるのではないでしょうか。


前振りが長くなってしまいましたが、ジロウさんについてです。
ルラの感想を聞くと、ジロウさんは若い頃はこう、
普通の正義の味方だったんじゃないでしょうか。
希望に溢れて、世界には正義が満ちている的な。
そういう人が、理想という翼をへし折られて、現実という泥濘に叩きつけられて、
ままならない現実という重くのしかかるドロを振り払いながら、
したたかに再び戦場(空)へ舞い上がったのが、ジロウさんなんじゃないかと。
冷徹な考えもできるし、現実に即した対応や、
冷めた引き算で数多くの利益を守る事もできる。
ただし戦場から一歩出てしまえば、したたかな仮面がぽろりと落ちて、
かつてのお人好しだった彼自身が出てしまう。
ジロウさんの敗因は、彼が彼らしくあったことで、
それを責めることは誰にもできなくて、あのルラですら勝利は喜んでも、
ジロウさん自身の死を喜んではいないように見えました。
少なくとも、以前だったら大喜びだったのでしょうが、
こう、なにか見てはいけないものを見てしまったように、
気づいてはいけない事に気づいてしまったかのように、
私にはそんな感じにルラの姿が映りました。


ラストでトンデモない事が起こって、レバー入れ大ピンチですが、
ジロウさんの死の衝撃がデカすぎて頭が働きません(笑)。
ど、どうなるんでしょう(笑)。