バキ外伝 拳刃(1) (チャンピオンREDコミックス)

バキ外伝 拳刃(1) (チャンピオンREDコミックス)


9/10


私は読んでいる間、ずっと息を止めていたのか?
そう錯覚するほどに、愚地独歩──武神と呼ばれる彼の若き日の姿に、
魅入られるかのようにのめり込んで読んでしまいました。
本編では鷹揚で、冗談も通じるし、おっかないけれど、
どこか気のいいオヤジさん的な側面を持ち、
ファンに独歩ちゃんと愛される彼の姿は、この中にはありません。
まさに、拳刃。解き放たれた愚地独歩という刃は、
必ず血を流させ、そして己も血を流す事を厭わない。
一戦として容易なものはなく、
実は生き残っているけど技量的には負けているような戦いもあり、
生き残り立っていることが勝利だとする雄度にむせます。


連載を読んでなくて良かったと心底思いました。
それだけの濃度、密度、分厚い肉と意地、
筋肉の躍動する執念のようなものがあり、小綺麗ではない死闘がここにあります。
目を抉り、耳を削ぎ、顎を外し、キンタマを潰し、鼻をもぐ。
凄惨極まりない戦いなのですが、独歩ちゃんも好敵手達も、
その透徹した精神のためか、妙に血生臭いすがすがしさが感じられました。


若き日の愚地独歩
彼のさらなる死合を是非にも見てみたい衝動が、抑えられないでいます。