10数年ぶりに、第一話から見直しました。
少年の頃、恐らくは再放送を見たのですが、
オーラバトラーのMSや普通のロボットと違うラインに、とても心を惹かれた記憶があります。
その後、スパロボプレイして記憶が大分曖昧な事に気づき、
後半地上にあがってからの部分を大学生の頃に視聴しました。
ただ、レンタル屋に飛び飛びでしかおいてなくて、
上手くストーリーが繋がらなかったので、微妙だなぁという印象でした。
なので、かなり漠然としたイメージで、スパロボ補正よりの記憶だったのですが、
今回、全話を見直した事で、ストーリー全体とキャラクターや物語に対するイメージが、
180度変わったのでちょっと書いておきたいと思います。


*キャラクターによっては、かなり辛辣な批判が書いてあるので、
特にゼラーナ隊がお好きな方はご覧にならない方がいいと思います。




・ショウ
こんなに感情移入できない主人公だとは思わなかった。
wikiを見ると、富野監督もショウについてはちょっと失敗したって思ってたようで、
確かにおっしゃるとおりだなーと。
彼自身の強さと、両親との邂逅の下りは感心したけれども、なんか色々駄目。
オーラマシンを消し去る事も、ジャコバから与えられた使命だし、
主人公だから強いという感じがして、最後まで好きになれなかった。
嫌いだと言い切ってもいいけど、性格が合わないと思った。


・トッド
ショウよりかなり感情移入できる。
最初は言葉尻をつついたり、嫌なヤツだなぁと思ったけれど、
ショウが嫌になってから見直すと、あれはトッドなりにショウを試してたんじゃないかと。
ジョナサンより柔らかい感じのマザコンキャラだったり、
功名を欲したり、故郷の街を守るためにドレイク様と供に戦ったりと。
トカマクが生きていたらなぁ。
トッド、トカマクのコンビだったらドレイク軍、面白い事になったんじゃないかな。
色々悔やまれる。


・トカマク
可能性溢れる人。PSの聖戦士伝説で、彼が生きててショウ・トッド・トカマクがいると、
最短でクリア可能だったので、彼の人間関係調整力は大した物なのではないかと。
ショウとトッドをなだめて、関係悪化を防げただろうし。
ただ、トカマクとトッドが生きてたら、いいコンビだったんじゃないかと思うけど、
ショウとトカマクだとショウのせいでトカマク死にそうな気がする。
彼の可能性をもっと見てみたかった。


・ドレイク様
器がでかすぎて、仰ることがことごとくごもっともで、なんか大好きになった。
ただ、私の好悪はともかくとして、憎まれ役の敵としては、失敗だったんじゃないかと。
作中で、彼のバイストンウェル支配の野望について、旧体制側の人間にとって悪であっても、
一般の民衆からすればフラオン・エルフ王のような暗君が駆逐され、
彼の権力を力量と器を兼ね備えたドレイク様が手にすれば、
どれほどアの国は豊かになったのであろうか。
エルフ城を攻めるときの演説も、本来は味方を鼓舞するために、
敵を貶める内容であり、事実、フラオン王の治世に対して批判をしている。
ただ、これ、まったく仰る通りなので、
おっさんになった私の視点からだと、筋の通った優れた王に見えた。
なんでこの人こんな名君なのに、恐れられているのか私には理解できなかった。
作中で、虐殺を主導したり、意に沿わない村に毒を流したり、
もっと残虐な事をさせておけばよかったのに。


ドレイク様が悪役どころか私には立派な人に見えたので、
そのせいかゼラーナ隊が掲げる正義、彼らの戦いの意義について、
まったく共感を得られなかったことが以下の彼らに対しての辛い評価に繋がった。


・ゼラーナ隊
うわっ、なんだこれって感じだった。1クール、味方パートは見ていて正直苦痛だった。
思想もなにもなくて、ただ旧弊が正しいと盲目的に考えて従ってる革命ごっこ集団で。
ニーもリーダーなのに、怒りっぽくて考えナシで行動するし。
23歳、リムルやマーベル、キーンからすれば、頼りがいのある大人の男に映り、
そこがあのもてもてっぷりだったんだろうか。
あのもてもてっぷりが、上っ面だけのイケメンがもてている感バリバリで、
ああ、ニーって、男に嫌われる男って感じが出てて、本当に大嫌いだった。
キーンは中ではまともだけど、あのくらいの子供だと、
お父さんの心情を思いやることは難しいんだろうな。
マーベルは、土井美加さんのお声がセクシーでよかった。
ニー教から抜け出してから、多少まともになった。
ニー以外は嫌いではないけども、全員集まると化学反応起こして、
テロリストなのに自分の正義を疑わない気持ち悪い集団になってたので、
全話見るという事を最初に決めてなかったら1クールで断念するレベルだった。
これ、演出通りなのか、失敗したのか富野監督はどう思ってるんだろう。
あと、ショウじゃなくてトッドがゼラーナ隊に来たら馴染めなかったと思う。
トッドは、脳内お花畑じゃないから。ボンボンのショウは溶け込めたけども。


・ガラリアたん
なにこれ、めっちゃ可愛い(*´д`*)ハァハァ。
前半のヒロインは、ガラリアたんだった。
誰かに似てるなぁと思ったら、最初の頃のクリスちゃんに似てる。
ああ、30年前だったら、クリスちゃんも死んでいたのかもと思い戦慄した。
彼女の幼少の頃の一シーンだけで、境遇と功名に走った理由が分かって、
富野監督の演出の妙を見た気がした。
あと、地上で娘を庇う母親を斬れなかったガラリアたんのシーンと、
その後のショウの母親との対比が母と子の関係性を、
二つの面からテンプレにできるレベルで描いていて、
富野監督の凄さを思い知らされた気がした。



・バーン
この人がいなかったらドレイク軍、負けがなかったんじゃないかってくらい、
色々不利益をもたらしている人。
トッドやガラリアたんも、彼以外が指揮してたらもっと色々できただろうに。
あと、キブツ・キッス(キーンのパパ)は、いい将帥になれそうな感じだったのに、
バーンに捨て駒にされたせいで死んだようなものだし。
キーンが苦しんだかもしれないけど、キブツが生きてたらドレイク様の陣容は、
かなり厚くなったんじゃないかと思って残念でならない。
ダンバインで幾つかある謎の一つは、
なにゆえにドレイク様が彼を厚遇したのかという所。
リムルの婿にと考えるくらいだから、バーンの家柄が良かったのかもしれないけど、
ドレイク様がその人事を行わなかったら、あなた勝ってましたよと教えてあげたい(笑)。


・リムル
顔が可愛いけどDQN。
味方のDQNの中でも、地位があった分迷惑すぎるDQN。
ニー・ギブン親衛隊の一人だけど、色々駄目過ぎる。
見ていてものすごいイライラした。
彼女の行動の演出って、意図的なものだったのか、
それとも可愛い姫様を演出してああなったのか。
その辺りが謎だけど、ああいう衝動のままに行動する若者は、
私には絶対に書けないので、すごい参考になった。



・ビショット
小狡そうな外見とルーザとの不倫の印象のせいか、
小物でまるで駄目男だと思っていたけど、見直したら評価がかなりよくなった。
この人自身、相当に優秀な人で、作戦指揮能力も非常に高くて、
なおかつビアレスをあれだけ用意する機を見る確かさ。
あと、作中におけるクの国の軍勢の強さ。
戦闘描写において立ち回りが上手くて、ナやラウの国のオーラバトラーを、
ガンガン倒してるので、兵士の練度も高くてちょっとびっくり。
あと、核攻撃を隠れ蓑に前後から、グランガランとゴラオンに挟撃されて、
ほぼ完璧に包囲されながらも、ゲアガリングの火力の薄い後背をブルベガーに守らせて、
前面に集中しながら脱出したビショットの手腕が鮮やかすぎて惚れたかも。
ルーザという疫病神がいなかったら、もっと色々できたんじゃないかと。


・エレ
かなりまともな人で、後半はフォイゾン王の血筋だなーと思わせる、
猛攻に継ぐ猛攻で楽しませてくれた。
惜しむらくは、タイミングなのか戦運なのか、
ことごとく負けてしまったのが可哀想というか。


・シーラ様
リセットボタン持ちのお姫様くらいの印象だったのですが、
政治・外交・交渉ごとにめちゃめちゃ強くて、再評価で大好きになりました。
地上に出て、ドレイク様がアメリカ(地図見れば広い)、
ビショットがヨーロッパへ駒を進めたのに対して、
英国へアプローチを賭ける辺りのセンスが非凡。
地図上では小さいけど、事実、各国への影響力は強かったわけだから。
ここまででも、食えない賢さだなぁと思っていたが、
この英国女王との話で、本格的に惚れ込みました(笑)。


シーラ様って、恐らくは自身の正義は信じてないけど(頭いいから)、
自身の正当性を信じていたんじゃないかな、と。
30年前に、こんな狡猾な美少女がいたとか、本当、驚愕しました。
この人は、捕まったマーベルを見捨てて策を弄したり、
最終局面ではニーやショウすら切り捨てて実を取る見事な采配で、
ドレイク様やビショットと互角の状況だったら、多分、二人がかりでも敵わなかったんだろうなと。
ナ国の軍勢が、ATB(あいつらとっても棒立ちだ)レベルで、
恐らくオーラバトラー保有国中最弱なんじゃないかって感じでしたが、
シーラ様の能力がそれを補ってあまりあるのでハンデだったんじゃないかと(笑)。
これだけ切れる人なので、ショウとの出会いの時に、
ガロウ・ランに騙されたっていう辺りが、まったく納得できないのですが(笑)。
恐らく、ビルバインを託せる人物に会えるよというお告げでも受けて、
ガロウ・ランの策にのったんじゃないかと思います。


ルーザ
色々な元凶。
金髪にしたキシリア様みたいなのに、男を手玉にとる魔性の女。
というか、同い年かよッ!!と(笑)。


物語
1クール目は苦痛。2クール以降、東京上空辺りから面白さが加速して、
浮上からの地上戦のめまぐるしい状況と、戦争に継ぐ戦争が楽しくて、
このアニメを見続けてよかったと思わせてくれた。
富野監督が言っていた反省点を直したら、どれほどの傑作になっていたのだろうかと。
ただ、現時点でも、名作といって過言はないと思う。
この作品が、後世、どれほど影響を残したかを考えると、
その功績は凄まじいものがあると思う。
未見の方は、是非見て欲しい。
ダンバインを見終わってから、ブレンパワード見ると、
監督の心境の変化が面白いかもしれない。


最後まで見て、好きなキャラを並べていくと、
ドレイク様>シーラ様>トッド>ガラリアたん>トカマク>ビショット>甲板で泣いてるバーン>ジェリル
くらいに落ち着きました。