強くてニューサーガ〈2〉

強くてニューサーガ〈2〉


強くてニューサーガ〈3〉

強くてニューサーガ〈3〉


8/10




実はカイルよりもセランの方が、チートな気がしてきました。
カイルは未来から帰還した人間で、これから先の記憶と、卓越した魔力を得ていますが、
セランはまったくそういう特殊な背景がないのに、
この当時からこの世界の上位クラスである、魔族ともやりあえる強さを誇っています。
セランの怖い所って、半分擬態で半分素っぽいみたいだけど、
おちゃらけた三枚目や道化を演じながら、相手を油断させる所もあると思いますが、
2chでアニメ実況してる人達に近いけど、実際にそれをやれる所だと思います。
アニメを見てて、「なんでいま殴らないんだよ」「隙だらけだろ、攻撃しろ」
とかまぁ、アニメとかは演出上、やることがあったりして、
明らかに隙があるのに攻撃しなかったりして、それを見てる人達がぶーぶーいったりするのですが、
大概文句付けてる人は、実際にその場になったら何もできない人だと思います。
で、セランはそれができるわけです。
女魔族ユーリガの時も、実際、あれだけ和んだのに、普通に斬りにいってますし。
ただ、不確定要素が出てきて、そっちを斬ったらさすがにやる気が無くなったって所は、
いい落としどころだと思います。
そこで斬りにいくのは、現実的ではありますが、エンターテイメントの人物として、
ちょっと問題があると思うので(笑)。


今回、魔族が登場して、幾つか気になる点が。
魔族にとって角は非常に大事なものであり、今回、それが元で男性魔族は命を落としています。
この時、カイルが訪ねた「角が無くて黒い翼の魔族」が、大侵攻を行った魔王のようです。
魔族にとって、角がステイタスであり、無いと侮蔑の対象になるのなら、
その侮蔑の対象でありながら、魔王になれたその魔族は相当強いのか、
よほど魔族の益になる目的を掲げたのでしょうか。
ユーリガが味方になるとは思いませんが、魔族側の知人が出来たわけで、
そこから大侵攻の引き金をカイルが知るきっかけになるのかもしれません。


しかし、一番三巻でびっくりしたのはセランの義母レイラが、
どうもキナ臭い宗教の側にいる事でした。
カイルが未来から過去へ飛んで、色々と分かったことは、
先だっての王女の事故死は実は仕組まれたものであったり、
歴史の真実というのがカイルが考えている以上に、
政治や権力争いが入り交じっていたということです。
王女の事故の一件では、カイルが救いたかった戦友ゼントスを、
自らの手で討ち果たすような苦い経験をしています。
この先、もっと大きな選択を、
もっと苦い経験を積まなければいけないかもしれません。
その時、カイルがどうするのか……。
そこをどう描くのか興味があったりします。