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射手座のシジフォスのストーリーですが、
本編では登場は早かったものの、一旦休みがあったりして、
それでも多くの聖闘士から慕われ、尊敬された彼の過去の話は興味がありました。
若かりし頃のハスガード、アスプロス、シジフォスの三人が登場して、
ああ、この三人は同期だったんだなぁと。
物語が終わる頃には非常に親しくなってるように見えるのですが、
その友情を以てしても、アスプロスの心の闇を拭いきれなかったことが、
とても残念でなりません。


それはともかく、やはりシジフォスは、
兄であるイリアスへのコンプレックスがあったんだなぁと。
本編だと黄金聖闘士として、さらにその黄金達の中でも、
年長者として常にリーダーシップを発揮していた彼が、
偉大な兄への存在の重圧にさらされていたことが、
意外でもありなるほどとも思えて、親近感が一気に深まりました。


デルフォイの神託を得に行くのですが、
実際はシジフォスへの試練であり、彼自身の信念と人生に対して、
真正面から見つめ直すことを要求されます。
ものすごい厳しい戦いであると、読んでいてヒシヒシと伝わってきました。
辛い未来をつきつけられてなお、友人達との別離を告げられてなお、
後からくる後輩たちの為に、未来(みち)を切り開くため、
奮い立ち、戦おうとするシジフォスの姿は、
若く未熟な時代であるのに、ハーデスの攻撃に耐えきったあの瞬間を思い起こさせ、
まさしく射手座の聖闘士よ……と心の底から喝采を送りました。
この後、兄、イリアスとも戦うのですが、
この人が本当に強くて、話している内容をそのまま解釈すれば、
あの時点でエイトセンシズに目覚めているようです。
その、イリアスに一矢報い、己の意志を貫いたシジフォス。
後の聖戦で、あれほど活躍した男の基礎はここにあったのだと、
満足の中、読み終わりました。


そういえば、今回出てきた巫女のアルケスさんが、
妙に可愛くてびっくりしました。顔の刺青がよかったのか、
凛とした風情と、かわいらしさの同居感があってハッとしました。