オーバーロード7 大墳墓の侵入者

オーバーロード7 大墳墓の侵入者


8/10



最初、アマゾンレビューが振るわなかったので、改悪があったのかなと思ったのですが、
読後にそんな事は無くて、レビュアーさんと合わなかっただけかなと感じて安心しました。
私は基本的に勧善懲悪な話を作る人間なのですが、
若い頃はピカレスク物もかなり読みましたし、別に嫌いではありません。


ただ、選り好みが激しくて、同じように人が死んでいく話でも、
肌にあうものと肌に合わないものがあります。
オーバーロードでは、ナザリック大墳墓に所属する者以外は、
ナザリックに利益を与えるか、無害であるか、有害であるかの三者しかいません。
第一は優遇されるのでしょうし、第二は放置、第三は死を与えられるのでしょう。
俺tuee展開に狩られていく敵対者たち。
それは展開の道具であり、人という名のサンドバッグ。
そこに丸山先生は、苦い毒を垂らします。
ソリュシャンに食べられる男や、死霊術師のカジート。
前者も死の間際に掘り下げられ、カジートが死者を操る邪法に手を染めたのは、
自らの行いで死んでしまった母の蘇生という、邪悪と切り捨てるには純粋な願いでした。
web版では、キレ者としてあったレェブン候は自らの子供に対しては、
非常に甘い、メロメロな父親としての姿を見せ、その直後に無惨な死を遂げます。
このように、オーバーロードでは、ところどころで、
死んでいくNPCを掘り下げて、人格を与えて命の重みを読者の膝の上に、
墓石の如く積んで行きます。
単純に俺tueee展開ではない辺りを、私などは面白く感じているのですが、
あまり大衆向けではないかなとも思います。
今回の7巻では、その辺りが色濃く出たので、反発が大きかったのではないかと思っています。


私が7巻で苦言を呈するとしたら、大墳墓に侵入するワーカーと、
帝都にやってきたアインズ達とフールーダの動向。
この辺りが交互に行ったり来たりしていたので、ちょっと読みづらかったです。
片方が息抜き的に内容があまりなくて、ふーんくらいで流せる話だったら良かったのですが、
設定やら伏線がモリモリ入ってて(笑)、ちょっと私の脳では処理しきれなかったので、
一回読んでから、ワーカー編をそれだけで読んで、帝国編を読んで色々咀嚼する部分がありました。
非常に文章が巧い方なので、読ませるのですが、
それだけに情報量が多い部分を一巻に詰め込まれると疲れます(笑)。
あと、今回は、竜王の場面でかなり重要な話が語られていて、
既刊を読み直したりもしました。
展開は別に容赦なくてもいいのですが、話の読ませ方はもうちょい読者に優しくしてくれると助かります。