- 作者: ブライアン・マイケル・ベンディス,マイケル・ラーク,ルチオ・パーリロ,オリビア・コワペル,ジム・チャン,御代しおり
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2015/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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9/10
変身能力を持ったスクラル人による地球への大規模な侵略、シークレット・インベージョン。
その事件の際、功績をあげて一躍スターダムにのし上がったグリーンゴブリンこと、ノーマン・オズボーン。
重傷のS.H.I.E.L.D.総司令であったトニー・スタークはその任を解かれ、
オズボーンがS.H.I.E.L.D.とアベンジャーズを率いることになります。
そのオズボーンが作り上げた、コスチュームだけアベンジャーズで、
中身は犯罪者・ヴィラン達で構成されたダークアベンジャーズ。
ここ数年の邦訳の流れが、そのダークアベンジャーズに対抗するために集った、
元アベンジャーズやその他のヒーロー達で作られたニューアベンジャーズの、
レジスタンス活動的な戦いの連続でした。
今回、このシージにおいて、久しぶりに揃ったビッグスリー。
アスガルドのアメリカ大陸上空への突然の現出という、
頭おかしいだろうというイベントからスタートします。
よく、ダークアベンジャーズが去って、溜飲が下がるといいますが、
実の所、キャップ達の復帰は嬉しいのですが、オズボーンは好きだったのでちょっと残念です(笑)。
非道というか冷酷な面はありましたが、彼なりにその立場を守るため、
ある程度悪ときっちり戦っている所もあったわけですし。
このシリーズのラストでショックだったのが、
ダークアベンジャーズ唯一の良心。一児のお父さん、アレス。
彼の死が、本当ショックでかかったです。
発注したライターが、「確実に死んだのが分かるように」という死に様を注文したら、
あのセントリーによる真っ二つがあったので、本人もびびったらしいです。
なにはともあれ、キャップ・社長・ソーのビッグスリーの復帰は、
やはりファンとしては心から嬉しいので、
今後の戦いも見守っていきたいです。
今回、太陽に放り込まれて完全に退場することになったセントリー。
正直な所、私は彼が大嫌いで、死んでくれてすっきりしています。
ただ、そんな嫌いな私でも、今回の扱いについては、
疑問を禁じ得ない部分もあるのです。
彼の作中の扱いは、長年忘れ去られていたヒーローという事で、
面白い登場の仕方であると感心したものです。
ボイドという自信の悪心による、邪悪な行いに怯える、
太陽百万の力を持ったヒーロー。
つまり、不安定だけども、止めようもない超パワーで戦うヒーローという、
かなり危険だけれどライターとしてはいい道具である登場人物ができたわけです。
なぜかというと、ハルクというヒーローがいます。
あの緑色の巨人で、制御不能。味方だったのがいきなり味方を殴り飛ばしたり、
有利な展開でいきなり発狂して敵に回る始末に負えない人でした。
でしたというのは、ハルク・ウォーというイベントで封印されてしまって、
どうにも解放の目処が立たなかったわけです。
そこで、セントリーが来ました。
彼は展開の都合によって、ヴォイドに精神を揺さぶられ、
勝てそうな所でいきなり暴れ出してヴィランを逃がしたり、
味方をいきなり殺したりする危険な人物として、重宝されました。
重宝とはどういうことかというと、ライターとしてはセントリーが暴れたから、
事態が更に混乱したとすれば、みんな納得してくれるからです。
編集部は便利なセントリーを便利に使いすぎて、
彼は読者からの憎しみを集めて行ったのではないでしょうか。
私も正直嫌いでしたし。
でも、流石に今回の処分はなかったんじゃあないでしょうか。
大嫌いな彼でしたが、キャラクターの扱いについて、
多くの事を学ばせて貰いました。
マイケル・ムーアの言葉を借りれば、ヒーローとは、
「ヒーローってのはスーパーパワーがあるとか、コスチュームを着てるって事じゃない。
自らの意思でもって世界を良くしようと戦う人々の事を言うんだ 」
であり、私もそうだと思っています。
セントリーはヒーローであったのか?
私は、いいえと答えます。
では、なんであったのかと問われれば、
私の答えは被害者であったと。ヒーローが救うべき被害者であったと。
セントリーを埋葬するソーの悲しそうな顔が、私の頭には鮮明に残っています。