擬音は劇薬です。使用には注意しましょう。

Add−機械仕掛けのホムンクルス

事前情報からすれば、普通のライトノベルでした。ただ、普通+良くない部分がミックスされると、普通以下になるわけで…(笑)。その点を幾つか書いてみたいと思います。

まずは、擬音が多すぎる点です。これはちょっと酷い。特に一番最初のページが、
「人間NOオオオオオォォォォォォォォォォォォォ(略)」
という擬音で埋め尽くされているのを見ると、まともな神経の人は読むことを躊躇うと思います。ライトノベルズで、グワシャッ!とかベキベキとかそういった擬音が、まるで漫画のように平気で使われるようになったのは、スレイヤーズが代表ではないかと思います。そのスレイヤーズの功罪は置いておくとしても、いささかAddは擬音を使いすぎています。あと、よくないのは「よしよしよしよし×20」の連続使用でしょうか。ジョジョをバイブルとしている私には、第5部でチョコラータがセッコに施した行為と、極めて状況が似ているため…そのまんま使っている辺りに、かなりの厚顔さを感じました。あんまり、メジャーな所から持ってくるのはよくありません。影響を受けるなら、マイナーなものから持ってきて、オリジナルだと思わせないと…(笑)。

…あ。このままだと、良くない点だけ羅列しそうなので、ちょっと方向を変えます。

主人公のコウの機械化した身体にわざわざ痛覚を残しておくことや、その理由となった過去の体験など、非常に分かり易く描いてあるので、特に酷い文章能力というわけではありません。最近増えた、ライトノベルを読んでライトノベルを書いたライトノベル作家、という感じを受けました。だから、私のように漫画もラノベも大量に読んできた人間にとっては、どこを斬ってもかつて見た光景がでてくるんですよね。まず、擬音を減らして、同人誌じゃないんだから、あまりに露骨すぎる元ネタの流用をやめて…ここでスタート地点に立てるわけですが…(笑)。基本的に私は、アマチュアへの意見は甘く、プロへの意見は辛くという立場に立っているのですが、こんかいはカレーの王子様くらい甘めにしてみました。

あ…そこの表紙に釣られそうになっているあなた。とりあえず、擬音びっしりの一ページ目を見て下さい。ええ、読めとはいいません。で、その次のページで違和感を感じなければ、買ってもいいでしょう。擬音びっしりで、「…これはだめだ」と思った方。大丈夫、あなたは正しい感覚を持っています。その感覚を大切にしてください(笑)。