ARMS 7巻

第1部が鐙沢村での虐殺とカツミの死、そしてジャバウォックの暴走…と鬱々しい感じで幕を閉じたARMSですが、その後のX−ARMYとの戦い、そして間髪入れずに始まったレッドキャップス編は、まさしくARMS序盤の山場であり、恐らくは最もファンを獲得したシリーズだったのではないのでしょうか。
高槻涼・新宮隼人・巴武士・久留間恵ら4人のARMSが、初めて力を合わせた話であり、ARMS完全体の発動や、宿敵と見なされていたキース・レッドの死、そして、キース・シリーズの登場…。後へ続く要素や、謎の解明、そして新たなる謎の登場と息をもつかせぬ、まさに怒濤の展開が味わえます。

人物の根源を掘り下げるために、漫画などでは回想などのエピソードを入れて説明することがありますが、ARMSはその描写が、極めて秀逸でありました。キースシリーズの根源(憎悪・恐怖…etc…)は大した紙面を費やさずに、完全に読み手に伝えてくるあたり、作者の力量の確かさを感じざるを得ません。例外的に長かった回想として、ティリングハースト博士が語った、エグリゴリとアリスについての話があります。まあ、あれは…話の核心的な部分なので、不可欠であったと思います。十分面白かったですし(笑)。

とりあえず、ARMSを今からお読みになるかたならば、この7巻までお買いになるor漫画喫茶でお読みになることをお奨めします。3巻までだと、鬱々としてしまう可能性がありますから、それなりに爽快なラストシーンと、次の舞台への期待を持たせる、この辺りまでがいいのではないかと、老婆心ながらお奨めする次第です(笑)。


余談ですが、このレッドキャップス編の直前…魔王セイタンクリフが殺害された辺り、私の足元に地獄が開いた時と重なっておりまして、知人に「私も来週には魔王セイタンクリフのようになるのさ」などと嘯いている頃でして…(笑)。あまりいい思い出ではありませんが、そのせいで極めて印象深いのも確かです。