もう、誰一人失わない道を進んで身体を手に入れる!

by アルフォンス・エルリック

鋼の錬金術師 11巻

鋼の錬金術師(11) (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師(11) (ガンガンコミックス)

エルリック兄弟の父親ホーエンハイムが出て来たら、一気にストーリーは急展開する…かな?」
荒川先生がインタビューなどで再三仰っておられたように、事態が一気に加速しましたね。
まずは、人体錬成(既死者の)が不可能であるとう冷厳な真実。母親を錬成しようとしたアルとエド。息子を錬成しようとしたイズミ師匠。そして、ロザリーを錬成しようとしたジュドウ(パーフェクトガイドブック参照)。彼らのまさしく身体を賭した一大錬成は、まったくの無駄であったという事です。
ただ、彼ら真理を見て帰還した錬金術師が、ラスト達ホムンクルスから見れば「人柱」に値する存在であるということを考慮すれば、あちら側を除いたエドが、アルが、イズミ師匠が、錬成陣を用いず両の掌を合わせることでそれを行う技術を得たので(ジュドウは未確認)、その辺りの錬成における技術的な上昇が、人体錬成を行ったものへの報酬なのではないでしょうか…。しかし、愛する者を助けようとして、それが適わなかったにもかかわらず、錬成の技術が向上するというのは、なんとも皮肉な話です。

 これはエドとアルの過去の話を本編で回想した際にも思ったのですが、二人が(主にエドが)「決意だ」と称して家を焼きますが、私には不可解に思えました。まあ、この場合の私が感じた違和感は、今回ホーエンハイムが説明してくれたので、ここで語る必要は無いと思いますが(笑)。ところで、そのホーエンハイムですが、かなり怖い印象を受けました。飄々としているようで切れ者、とかそういう生やさしいことではなくて、なにか…ものすごく無関心な印象を受けているのですよね。ただ、彼にとって執着があるのが、家族…ってことなのでしょうが、それもなにやら微妙な感じを受けるのです。うーむ。まあ、目的とか分からないので、いろいろと断定するのは早すぎるのでしょうけどね…。

 後半の覚悟を決めたエルリック兄弟による、「ホムンクルス釣り」については、次巻で決着がつくと思うので、その時にまとめて書いてみようと思います。そにしても、マルコーさんの医療錬金術。見たかった…いろんな意味で見たかった(笑)。ジョリオ・コマンチさん…格好よかったのに…出番少なくて残念です。