吉永さん家のガーゴイル

 この題名の表記方法でわかることがひとつあります。
シリーズが予定されている小説なら「○○ 1」と巻数が書かれるのですが、吉永さん家のガーゴイル、でとまっているため、当初は続刊予定がなかったのでしょう。この巻だけできちんと完結していますから。一応、色々と続刊が作れるような伏線っぽいものが残してはありますけどね。

 門番を役目づけられた名無しの犬?の石像と、それを迎え入れた家族と町内のハートフルストーリーというところでしょうか。ある意味、ARIAの世界に近いのかもしれません。何せ「喋る石像」が普通に周囲に受け入れられていますから(笑)。動物がでてくるだけで、心躍るというのに、実際3カ所涙するシーンがありました。いや、きっと、他に同じ場面で涙した人はいないでしょう。作者先生ですら、そんなことは想定外だったはず。でも、銀河英雄伝説で、帝国に占領された同盟首都ハイネセンにおいて、帝国軍に抵抗した下級・中級の文官たちの気骨に感銘を受けた人なら、同じ気分を味わわれるかもしれません。

つまり、そういうことです。

ただ、エイバリー少尉の話は危険です。なんていうか盛り上がる曲を聴きながらだと、かなり危険です。哭きが入ります(笑)。動物好きの方はご注意を。