幻想水滸伝 10巻

幻想水滸伝3-運命の継承者 10(10) MFコミックス

幻想水滸伝3-運命の継承者 10(10) MFコミックス

ヒューゴの苦悩、ゲドの強靱な老練さ、クリスのダメっぷり(笑)。幻想水滸伝3の3人の主人公を、あまりにも語り方がへたであり、物語も滅茶苦茶だったゲームとはうってかわって、その魅力を引き出すことに成功しています。相変わらずクリスは大嫌いですが(私が甲冑のお姉さんを嫌いだという時点でどれほどか、ご想像下さい)、ゲドの背景や設定にあるような懐の深さや、うちに秘めた情熱をきちんと描ききっていますし、ヒューゴの前半の天真爛漫さと、真の紋章を持ったことやリーダーとしての苦悩も実に納得できる形で描かれています。

そして、実は彼を主人公にした方が丸く収まったのでは、と言われるビュッデヒュッケ城城主トーマスも、城主としての厄介事や、ゼクセンとグラスランドに挟まれてその軋轢に悩みながらも、彼自身の理想を貫き通す姿は、すでにゲームを越えています。予定を大幅にオーバーしての続刊。恐らくは幻想水滸伝3で、絶望した私のような人間が、このコミックスで心を癒したという事の現れなのかもしれません。志水先生が、どんな幕引きを用意するのか…非常に楽しみにしています。