[とある魔術の禁書目録] 6巻


ああ…今回も痛みを抱えた心優しき善人が、悲壮の覚悟を持って悪人の仮面を被ってる(笑)。いや、そんな気はしたのですよ。途中までは、珍しいほどの悪人だと思って楽しみにしていたのですが、そうもいかなくて。風斬がぼこられる辺りで、これはそうかとふんでいたのですけど(笑)。それにしても、やっぱりアレイスターはクロウリーだったんですね。魔術を極めたであろう彼が、科学の側からアプローチしようとしているものの正体が、少しずつ垣間見えましたね。

今回、一番私にとってクリティカルに響いたのは、上条と警備員の人たちが、風斬を助けに駆けつけたシーンですかね。人間あれです。基本的に逆境に陥れば、ほとんどの人間が他人を押しのけて自分だけ助かろうとするわけです。ただ、そんな中、ほとんどが教員で構成されている学園都市の警備員(アンチスキル)の人たちは、上条の言葉──「俺の友達を助けてほしい」を聞いて、それを実行できる信念…という言葉は、中学生の頃に読んだとある銀河の興亡小説の影響で嫌いなので、心としましょうか。それは、おそらくは幻想殺しでかき消すことのできない、あの世界で唯一絶対の幻想なのではないでしょうか。

ああ、言われる前に突っ込んでおきましょう、自分に。「恥ずかしい台詞禁止」(笑)。