学校の階段 (ファミ通文庫)

学校の階段 (ファミ通文庫)

もしかすると、ファミ通文庫はこういう日常作品の宝庫なのかもしれないと思いました。
暴風ガールズファイトといい、なかなか良質の学生物がまだまだ眠っているのかも、
とこの本を読んで思ったりしました。
ぶっちゃけていうと、とても面白かった。


出だしを見ると、主人公が高校生だった頃の懐かしい日々を思い出しているのかなーという感じで、
ちょっといきなり寂寥感が漂ってるけど、それもよし(笑)。
ストーリー的には高校に進学したばかりの主人公神庭幸宏が、
階段を疾走する風変わりな階段部という面々と出会い、彼等と交流を深めていくという感じです。
まぁ、聞いてわかるように風変わりで、なおかつ危険なので(笑)、
階段部は生徒会執行部から目を付けられていたりして、彼等との抗争もあったりします。


なんていうか、懐かしい。流石に階段部はなかったけど(笑)、高校時代っていいなーと思い起こさせるような。
中学生って、まだまだ青臭いけど、高校生は大人と子供の中間というか、
妙に突っ張ったり、片意地張ったりするけど、そんな自分に自己嫌悪したり(笑)、
そんな時代の青臭さがとてもいい具合に描かれています。


そして、主人公は許せないことに、年上の4人の従姉たちと…ひとつ屋根のしたでッ(血涙)!!
なんたる、なんたること(笑)!! 許せぬ、許せぬわっ!! オレと変われ(笑)!!!!
…と思いつつ、読み進めていました。次女と三女は私の嫁ということで。ふふふ。


そうそう、この作品のウリをあげるなら、主人公より年下の女性が出てこないということでしょうか。
あー、保育園児が通り過ぎますが、これはモブなので除外。
きっと、作者さんは年上キャラが好きなんだなぁーと読んでいて思ったわけです(笑)。


苦言を呈するなら、もうちょいエンターテイメントに徹してもいいかなーと。
例えば、三枝先輩が水をかけられたり、講堂を後にする時の台詞とか、
元々階段部というのが、かなり超常的な「ありえない」部活なので、
嫌われ方としては、もっとドライに…らんま1/2的なおっかけられかたというか、
もっと明るい感じにしたててもよかったんじゃないかなーと思うわけで。
なんというか、キャラの陥れ方が陰湿な感じがして、
キャラクターのイメージからすると、生臭すぎてちょっといやだなーと思ったですよ。
「作り話だからこそ、本来なら救いの無い話にも救いを作ってあげられるんだよ」
この言葉は、エンターテイメントとして、とても大事だと思う。