これまでの話の閑話的なものであったり、
前日談であったり、後日談であったり、
とても楽しい詰め合わせになっています。
本編読んでから読むものなんでしょうけど、
もしも本編が始まる前にこれを読んだとしたら、
リドヴィアやオリアナのイメージが大分変わってしまったでしょうね。
基本人間の戦いでは、絶対的な悪との戦いはまずありません。
互いが信じるモノ(正義)がぶつかり会うので、
読者としてはその正義を深く長く知っている方(主人公)に、
肩入れしてしまうものだったりします。よっぽど下手な人じゃない限りは(笑)。
いや、もしも、ずーっと敵側の描写を主人公として描いていて、
最後の最後で実は倒される側だったのは、
こっちだよーっていうやり方もありかもしれませんが。
話が大分それましたけど、
今回のショートストーリーは、
どれもいろいろな側面が楽しめて面白かったのですが、
強いて二作をあげるとするなら、


「世界に足りないものは何か 4月、第一金曜日」と
「正体など判断できない者達 10月、第二金曜日」でしょうか。


「世界に足りないものは何か 4月、第一金曜日」は、
御坂パパのセクシーさがとても素敵でした。
世界に足りないものを用意する。
一見簡単なようでいて、これほど難しいことはないでしょう。
それを、まるでタバコの銘柄でも選ぶように、
気負い無くやってのける所が格好良かったです。
普通、物語の主人公は誰かを助けるけど、
そこで終わりのものが結構多いのです。
まあ、仕方在りません。怪我が治るまでいるわけにもいかないし、
法制度を整備したり、
環境を良くしてその改善された姿がある程度続くよう手配りするのは、
とても苦労の多いことですし、単純な腕力では無理な話です。
その辺りを考えている身としては、
御坂パパの話はとても興味深い部分がありました。


「正体など判断できない者達 10月、第二金曜日」
こちらはもうー(笑)。いつもの禁書目録でした。
というか、私の子供のような考えだと、
「一人の人間が世界を救い得ないなら、一人が回りの人を助ければいい。
一人一人が身の回りの人に手をさしのべれば、その手は世界を覆い尽くせるのでは?」
と、まあそんなすごく甘いことを考えていたりします。
禁書目録が上条ちゃんの回りで起こっていることにスポットが当てられているので、
無理な部分がありますが、
彼がいないところで酷い目に遭っている人がいるわけじゃないですか。
その人達はどうなるのか? 一方通行が間接的に助けたりしてはくれてますが…。
けど、削板のような、まるでもう一人の上条ちゃんのような漢がいるなら、
なんか世界はあかるいなーと。上条ちゃんの居ない場所でも、
誰かが手をさしのべてくれると信じられるなら。
……しかし、上条ちゃんだらけの世界って、暑苦しいですね(笑)。