このポセイドン編の一連のエピソードは、手代木先生の原作への愛が詰まっていて、
とても楽しませて貰いました。


ハーデスへの愚直なまでの忠誠を示すラダマンティスに対して、
あくまで自分の個人の為に戦うというカルディア。
それを世迷い言と吐き捨てるラダマンティスですが、
カルディアが個人主義なのではなくて、未来への礎となる為に、
限りある命を使い切ろうとしている事に気づき、
その辺りから罵っていても妙に優しいというか、理解度が高まってきているというか。
カルディアのラストシーンもそうですが、ラダマンティスも実に格好良かったです。
今のところ、一番上司にしたい三巨頭かも知れません(笑)。


デジェルの戦いは、実に悲しいものでした。
親友の堕落と、恐らくは、かつて恋心を抱いたであろう女性セラフィナの死。
それを乗り越え、友を救い、セラフィナを止めるという底力が、
読んでいて痛いほど伝わってきました。
オリハルコンからポセイドンの小宇宙を受けていたセラフィナの力なんですけど、
多分、ジュリアン・ソロに憑依した時に近い力なのではないでしょうか。
あのアトランティスを滅ぼしそうになる洪水など、恐ろしい威力でしたし。
だから、その神の力を沈めたデジェルは大したものだと思ったわけです。
まあ、最後の瞬間、蘇ったセラフィナの意志が、力の奔流を止めたようにも見えますが。


ただ、一点気になる事があるのですが、
コミックスに収録した際に、一話だけレグルスの話が入ってしまってるので、
これを考えると、ラダマンティス配下をカルディアが倒すという話を一話入れてもよかったかもしれませんね。
ユニティのあのシーンで、13巻が終わると綺麗かなと思いますし。
というか、バレンタインとかゴードンとか見たいんですよ(笑)。