山風短(1) くノ一紅騎兵 (KCデラックス ヤングマガジン)

山風短(1) くノ一紅騎兵 (KCデラックス ヤングマガジン)


評価 8/10



天下分け目の「関ヶ原の戦い」の前年、
不穏な空気に満ちた京の遊郭にいた、
ひとりの美しき者。名は、陽炎。
この者が、天下の形勢を、
大きく動かしていく!


カバー裏より


昨日も書きましたけど、ずっとくの一紅騎兵で探してたんで、
まさか山風短で出ているとは思いませんでした(笑)。


関ヶ原前夜、上杉謙信に習い、美童を寵愛する上杉景勝の元に、
直江山城守兼続より、一人の美童が送られてきます。
名は、大島三十郎。最初は食指が動かなかった景勝も、
ある時に見せた、その武芸の腕前に惚れ込み、閨へ……。
ですが、あまりにも女性然とした、
三十郎の姿に景勝の奥方が殺意を抱いたため、
三十郎は城を出ることに……。


で、まあ、この後、色々とびっくりすることが起きるわけなんですが、
山風先生のお話を読んだことがある方なら、
忍術だなと察しが付くでしょう(笑)。
核心を喋っちゃいますが、三十郎は陽炎という忍者で、
衆道しか解さない景勝の元に忍び込んだ真田の者でした。
ただ、その景勝への愛は本物で、
直江の白馬に乗って、景勝へ産んだ子を返しに来た後、
間をおいて再会した景勝が出会った時は、
その白い肌、白馬は赤く染まり、徳川の大軍へ突っ込んで行く様は……。
なんとも、悲しく、切ない姿なのに、実に胸に染みいるものがありました。


くの一紅騎兵もそうですが、山風先生の短編って、
実はかなり傑作揃いなんですよね。
魔界転生が有名になってしまって、あまり知られてない部分はありますが。
だから、短編を漫画化していくこのシリーズは、とても楽しみです。