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メディアミックスにおいて、コミックスや小説がアニメになることを、
実は私はあまり嬉しく思わないものです。
簡単にいえば、原作者やファンの愛情を上回れるものが完成せず、
原作付きであることで一定の視聴やグッズ購買を目論見、
誰が得をするのかという酷いオリジナル──原作ファン噴飯ものの──
エピソードが付加されて、酷いまま終わってしまうからです。
同様に、小説のコミックス化も、違うベクトルで楽しめないものが多いです。
小説は、文章の描写によって、状況を思い浮かべながら読むのが楽しいものです。
他の方は違うかもしれませんが、私はそうだったりします。
だから、読者の想像力を超える絵が必要になってくる分、
ある意味アニメ化より難易度が高いのかもしれません。
近年では、月姫のコミックスが非常に完成度が高く、
原作ファンを納得させて満腹にさせる素晴らしいものでした。
そしてこのエターナル・ソングも、その完成度から、
ファンが喜べるメディアミックスの成功例としてあげられることとなると思います。


今回、アシズ様がフレイムヘイズの契約者、冥奥の環という真名から、
いかにして柩の織手となったのかというエピソードが語られます。
原作読んでも、この時のアシズ様の感情に共感してしまって、
もう、堪らなかったですね。
ゾフィー・サバリッシュとか、カール・ベルワルドにあまり魅力を感じなかったせいか、
読んでいる当時は途中まで、感情がアシズ様よりになっていました。
マティルダたんや、カルメルさんも好きでしたけど、それより気持ちはアシズ様よりだったわけです。
ただ、ラスト、マティルダたんとアラストールの絆を見て、
感情はかなりそちらよりに傾きました。アシズ様が嫌いになったわけじゃありませんが。
私が評価したいのは、あくまで愛に生きたアシズ様と戦い、
彼を最終的に下したのが、マティルダたんとアラストールの愛であった所に、
心を大きく揺り動かされました。


恐らく次の巻で終わると思うのですが、非常に楽しませて頂きました。


そうそう、読者の想像を超える絵っていいましたけど、
シュドナイ神鉄如意は半端なかったです(笑)。