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前の話が以前のシリーズの後日談、そしてこの約束の地でに続く前振り的な話だとするなら、
今回の約束の地では、非常に濃密で、謎と設定と伏線が複雑且つ、緻密で怜悧に並べられ、
それらが繋がっていく様をみるのは、初めてライトノベルを読んだ中高生の頃のような、
異様な興奮を覚えたものです。
当時から考えれば、私も15年以上は時間が経過して、オーフェンに近い心境に至ったかと思うのですが、
知識と精神はいまのままに、かつての情熱を流し込んで貰ったようで、非常に嬉しかったです。


ヴァンパイア、白魔術、魔王スウェーデンボリー、神人種族などなど、
様々な設定やら伏線が明らかにされては、新しい謎を作り上げ、
ギャグ編に出て来たヴァンパイアなどがここまで重要な、
世界に関わってくるような設定だったとはと、驚いています。
キースが神人かもっていうのは、まあ、「ハハハ、こやつめ!」と
思いつつも「……かもねぇ」と頷けなくもない点がおっかないですが(笑)。


巻末にマジクが出てくる短編があったのですが、マジクが半端なく強くなっててびっくりしました。
旧シリーズ中では、素質や才能については触れられていますが、
あまりそれが決戦では役に立たなかった彼が、オーフェンと肩を並べている姿は、
当時の頼りない姿を覚えている私としては、感慨深いものでした。


しかし、ベイジットは笑って済ませられる範囲を、大きく超える愚行を侵しているようにも見えるのですが、
かつてのキリランシェロという少年も、十三使徒への招聘を棒に振ったりしているので、
その辺りは感慨深いものがあるんでしょうかねぇ。
ベイジットって、フォルテとティッシのどちらにも似てない気がします。
敢えていうなら、アザリーっぽいのですが、アザリーに在った知恵のようなものが欠如しているような気がします。
今回はともかく、また火種になったら、笑い話ではすまないかもしれません。