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私は子供の頃、からかわれるほど涙もろく、
TVでフランダースの犬のラストシーンが流れると、
その瞬間に涙するほどでした。
共感が強すぎるというか、相手の身になって考えて、
その感情や感じていることを膨らませすぎていたというか。
おっさんになってからも、あまり変わらないのですが、
哀しいシーンや、可哀想なシーンでは、
なぜそれを救えないのかと憤るようになり、
逆にそれを救えるような勇気ある行為、貴い精神を見ると、
それに対して涙するようになりました。


このDCスーパーヒーローズには、
数多くのヒーロー達が出て来ます。
人を超越した力、それこそ地球外の人や、
神であったり人以上の存在が多数登場しますが、
彼らが今回戦うのは、極めて現実的な病であったり、
世界的な飢餓であったり、貧困であったり、
一朝一夕で解決できない事ばかりです。
彼らがやった事は、荒れ狂う大海に、
一滴の優しさをしたたらせるだけかもしれません。
でも、その一滴がいずれ大海を優しさで満たしてくれと信じたいのです。


「俺たちは実は凄い力を持っているんだが、
ソファに座ってビール片手にテレビを見ているだけだ。
スーパーパワーがあったって、
やっぱりソファに座ってビール片手にテレビを見てるだけだろう。
馬鹿がコスチュームを着たところで、変な格好のおかしな奴が1人増えるだけだ。
ヒーローってのはスーパーパワーがあるとか、コスチュームを着てるって事じゃない。
自らの意思でもって世界を良くしようと戦う人々の事を言うんだ 」


私はアラン・ムーアのこの言葉が大好きで、
それこそ私の創作の第一に掲げるべき言葉だと思っていますが、
DCスーパーヒーローズには、この定義そのままのヒーロー達が出て来ます。
苦悩し、落ち込むけれど、決して諦めず歩き続ける。
それが、どれほど困難な事か。
それが、どれほど苦痛に満ちたことなのか。
けれど、彼らはそれを止めることはない。
だからこそ、私は彼らを尊敬する。
その精神を、この物語を読んで新たにしました。