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エルシドは本編に登場した時に、既に戦士としての透徹した精神がほぼ完成され、
己の聖剣にすべてを注ぐストイックな武人として在りました。
外伝はそんな彼が、恐らくは揺らぐ話だろうなーと思ったら、
彼の修業時代からの恩人、友人が登場し、
やはり彼が揺らいだ話だったので、これは興味深いと毎週読んでいました。


エルシドの心を揺さぶる数々の出来事は、
一個の聖剣として生きる事を選んだ彼を錬磨する、
精神的な修練ではなかったのでしょうか。
まさしく、ラカーユの父が言っていた通り、



「欠けず……そして人の手で蘇る」


というあまぎれの道を選んだエルシド。
彼の聖剣が、まさしく神すら討つ切れ味を備えること、
そして本編でラカーユ達が死に、絶望的な状況で心挫けそうになった時に、
テンマの言葉で小宇宙の熱さを取り戻す=人の手で蘇る────
いみじくも直後、シジフォスが言った通り、聖剣として完成するエルシド。
外伝で語られた過去を加味すると、本編のシーンがより濃い色彩で描かれ、
印象がまた違ってくるのが興味深いですね。


今回の4巻で、手代木先生は週刊連載から月刊誌の方へ移られました。
コメントを読む限り、大分ご無理なさっていた様子なので、
少しでも負担が減ってくれると読者としては嬉しい限りです。
次は童虎のストーリーなので、どう展開するのか楽しみにしております。