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この9巻一冊だけで、冥王神話本編で語られたことの全てを、
凝縮して体現していると感じ、読後感が心地よく、
まさしく充実した小宇宙に満たされました。


牡牛座を継承し、黄金聖闘士となったテネオ。
彼はかつて師であった牡牛座のハスガード=アルデバランが携わった任務を、
時を経て行う事に……。
テネオの聖戦後の状況、行方が知れなかったセリンサ。
聖衣を修復しているシオンや、近隣のロドリゴ村の人の良い人々。
多くの命が失われても、断ち切れない思い、想い、意志が、遺志が生きていると。


思い悩むテネオに語られる、若き日の師アルデバランの物語。
オリジナルキャラクターのコル・タウリが非常に男臭い巨漢で、
絵面的にとても男臭く、物語も不器用な思いの激突、
強大なテュポンとの戦い。泥臭くスマートとはいえない、
体力と根性と意志と意地の戦い。
その有様がとても嬉しくて、何度も読み返してしまいました。
ああ、手代木先生ノリノリでかいてるなぁーと思わせる物があって(笑)。


師の戦いを経て、迷いを抱いたテネオの戦い。
圧倒されるテネオ。黄金聖闘士の任務は、一つ一つが世界崩壊の危機を防ぐ、
世界を救うレベルの戦いを強いられるわけで。
その重圧に、押しつぶされそうになるテネオが、
最期の力を振り絞ろうとした刹那────聖衣に宿った意志が。
たまらん(*´д`*)ハァハァ。
こういうのが読みたかった。月刊へ移って、落ち着いてきたなーと思ってたので、
いつか来るかなーと思ってたのですが、素晴らしい外伝を読ませて貰いました。


アルデバランが巨星コル・タウリから継承された意志を、
次代のテネオが継承し、また、テネオが次の────。
そして、それが星矢達にも。
幾星霜も受け継がれる意志。それは、神すらも凌駕するのではないか。
神ですら、覆すことができないのではないか?


冥王神話を楽しんだ方でしたら、是非読んで下さい。
読まないと損です(笑)。