オーバーロード5 王国の漢たち [上]

オーバーロード5 王国の漢たち [上]



9/10


これまで、丸山先生はなんでまた、Web版と書籍版の展開を変えるような、
面倒臭い事をしているんだろうと不思議に思っていました。
実の所、Web版の方が分かりやすかったかなとか、
展開はあっちの方が好きだったかなという所もあったのですが、
書籍版の展開の方がいいなという部分はありつつも、労力に見合わないと、
勝手にそう思い込んでいました。


なんとも浅はかな考えでした。
この上下巻、非常に熱かったです。
思わず一気読みしてしまうくらいに。
あきらかに書籍版の方が面白いと断言していいと思います。


才能がないと自他共に認めているのに、足掻くように努力を重ねる
少年と青年の間の年齢でもがくクライム。
絶対的な力を見せつけられ心折れたガゼフのライバル、
人間としては最強クラスの力を持つ戦士ブレイン・アングラウス。
そして、アインズ様への忠誠心を持ちながらも、
その性ゆえか慈悲を見せてしまうセバス。
ドラマCDで、千葉繁さんが声をあててらっしゃるせいか、
甘い所が私的にものすごく好感度高いです。
その、セバスがクライムを導くだけではなく、
セバスも己が救ったツアレに教えられることもあり、
ブレインが、クライムの精神の強さに敬意を抱いたように、
クライムも純粋に才を持ち、優れた力量のブレインを尊敬する。
最近、読書のスピードが遅くなったのですが、
高校生の頃にスニーカー文庫を三冊まとめて買って、
3時間で読み終えた頃の集中力をちょっと取り戻しました。


下巻は一面で切り取れば英雄譚の一節なんですが、
その舞台裏を知ると、こういう企てかと感心する次第というか(笑)。
イビルアイってもっと悟った系の人かと思ってたのですが、
ああ、こういうタイプだったとは。
それと、ガガーラン姐さん萌える(*´д`*)ハァハァ。
ティアの横乳みたい。
次は帝国編になるようですが、これも……Web版でかなり長かったので、
大分そこへ至る前提条件や伏線が変更されたので、
大幅に話が変わっていくかもしれませんね。
元々、レェブン候けっこう好きだったので、死なないで欲しい所ですが。


Web版から書籍版へ移行した中で、
一番好きな話になるかもしれません。面白かった。
丸山先生は常に自らが打ち鍛えた刃の切れ味を、
これではダメだ、これではダメだと、
満足することは死であるかのように打ち直す、
刀匠のようであるとそう感じました。
王国編、Web版も長い物語で、十分に面白かったのですが、
あれをここまでバラバラにして殆ど作り直すような展開を行うとは。
頭が下がる思いです。