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アルスラーン戦記は私の高校生の頃のバイブルでした。
ロードス島戦記スニーカー文庫やファンタジーにどっぷりと浸かった私にとって、
天野先生の渋い挿絵はどうかなぁ〜とその当時の価値観で考えていました。
一応、銀英伝は読んでいたので、田中先生が書いたファンタジーということで、
きっかけはおっかなびっくりでしたが、読み始めてみました。
結論として、魔法飛び交ったり(実はあれですが黙っておきます。敵側オンリーだし)
魔獣でなくても面白いじゃん、ファンタジーと(笑)。
っつーかー、この年齢まで原作完結してないとか思わなかったよ、当時ッ!!!!


それはおいておいて、映画は二つとも見に行きましたし、
OVAも色々中途半端でしたが、ちゃんと見ました。
その両方を見てすごい残念だったのが、キャラクターデザインです。
アルスラーンと彼の臣下、アンドラゴラス王や、
タハミーネなど主要キャラクターはデザインがよかったのです。
ただ、ギスカール公、キシュワード、バフマン、カーラーン
言ってしまいますが、デザインよかったって言った人達以外は、
すごい酷いデザインだと思いました。
同時期に銀英伝のアニメがあって、田中先生の作品は、
脇役とか一回しか出番の無いキャラでも、
キャラクター性を生かしたエピソードと語り口で印象に残る人が多かったので、
あまりにも残念──忌憚無く少年時代の印象でいうと、
手を抜いているんじゃないかってデザインでがっかりしました。
最初、アルスラーン達主要人物のキャラデザを見て、
その方の絵が好きだったこともあって、これは期待できると思っていました。
ですが、キャラが増えれば増えるほど、酷いキャラデザばっかりで、
この一件でその方の株がめっちゃ下がりました。


荒川先生のコミカライズという話を聞いて、
まず、不安に思ったのが、キャラクターデザインでした。
あのがっかりキシュワードを、がっかりサームを、がっかりカーラーンを見せられるのかと。
いやいやいや。荒川先生、おっさんとかスゴイかき分けられるんだから、信じろよと。
マガジンのページで第一話が掲載されて、読後思いました。


荒川先生は私の期待を裏切らない。
それ以上のおっさん達を並べてくれたッ!!!!と。


ボードワンとモンフェラートのデザインがカッコ良すぎて。
特にモンフェラートは、ヒゲが重厚で萌えるし、ボードワンは眼光鋭く狡猾そうなのに、
口の辺りの傷が、歴戦さを顕していて、おっさんデザインの妙を見た気分です。
アンドラゴラスヴァフリーズキシュワードクバード、シャプール。
そして、カーラーン!! あの映画の如何にも悪そうなカーラーン
顔色悪くてクソ、意地悪そうなカーラーン。私がパルスの民衆だったらパレードで石投げるわあんなカーラーン
って思ってたカーラーンが、武人としての佇まいと、
どちらかと言えば悪役顔なんですが、ちゃんとバランスの取れたおっさんだったので、
もう、20数年の時を経て、満足しました。


逆にがっかりだった人は、別にいないのですが、
ダリューンがちょっと細いかなぁと思ったくらいです、最初の印象では。
その後、アトロパテネの会戦で見せた、獅子奮迅ぶりを見るに、
パワーはあるし戦士としての迫力も凄いんですよね
私の想像が、がっちりした長身って感じだったので、
アスリート体系に違和感があったんですが、
いつのまにかにしっくりきてしまいました。
さあ、次はガルシャースフや、サーム卿だ……(*´д`*)ハァハァ。
あと、ヒルメス卿の仮面がフルフェイスじゃなくて、
顔の前面鼻の辺りまでを隠すものになっていて、ちょっとびっくり。
でも、このスタイリッシュさも嫌いじゃないかな。


キャラデザの話ばかりしましたが、私的に気掛かりだったのはそれだけでした。
だって、田中芳樹原作を、荒川先生が調理するんだから、つまらないわけねーじゃん。
バカなの死ぬのって感じで、私的に言及するまでもない部分なので、後回しにしました。
忌憚無くいって、もう、単純に楽しませて貰いました。
巻末で田中先生が仰ってましたが、平和で人と文化と富と物に溢れていたエクバターナ
私達読者は、いきなり原作でアトロパテネに放り出されてしまうので、
それを見る機会がなかったわけなのです。
繁栄を謳歌していたエクバターナを見て、その後、アトロパテネへ。
会戦は視覚的に非常に分かり易く、細かい所で荒川先生の腕前が披露され、
かなり楽しめる物になっていました。
贅沢な事に、来月、2巻が発売されるようなので、楽しみです。
早よ、2巻(*´д`*)ハァハァ。


巻末の対談を読む限り、荒川先生には最終回の絵図面があるようなので、
恐らくは第一部で終わるのかなぁ……と思っています。
まぁ、それ以前に原作が完結してないですからね(笑)。
それにしても、本当、久々に楽しみなコミカライズです。