:「犬塚佐織の楽しいこと」

製作者   :alwさん
HP: 伯陽堂 http://homepage2.nifty.com/zhuang-zhou/



1話
シナリオ「ターニングポイント」と繋がりがあるお話で、
あの物語を経た、あの物語に繋がる犬塚佐織が主人公となっています。
鷹瀬司に声をかけられ、騎士団に入団した佐織を待つ日々と、
彼女をとりまく世界の変化、そして彼女自身の変化。
この辺りを分かり易いエピソードを挟みつつ進めていく手腕は、
流石だなぁと思いながらプレイしていました。
その日々の描き方と心の変化を描いて行ったからこそ、
事が起こった際の佐織の行動が映えたというか。


このまま様々な活動を経験していくストーリーになるのかと思いきや、
鷹瀬になにか急変が……??( ̄□ ̄;)。

そういえば、登場人物の一人の顔を見て、
一瞬びっくりしたのは内緒です(笑)。



2話
鷹瀬が流行病で命を落とすかもしれない。
騎士団が新たな改革によって、鷹瀬や佐織のやり方が通用しなくなるかもしれない。
悪い事が重なってどうすればいいのか分からなくなった彼女を諭したのは、
ホームレスの迫水だった。


alwさんのストーリー運びが上手いのも相まってか、
私が使ったときより迫水がいい感じだと思います(笑)。
元々、「悩みを解決し、道を示す人生の先達」として用意したキャラなので、
こういう感じに使ってくれるのはありがたいです。
ちなみに、導くとしなかったのは、選ぶのはあなただよという意味なので、
そこで自分で選択肢を掴み取った佐織は貴いのだと思います。


エピローグで「ターニングポイント」後の時間軸へ。
こうして過去の話は終わり、時間が動き出すわけです。



3話
苦悩し、傷つき、立ち向かい、克服する。
その過程を経て、大きな事件が佐織たちに巡ってきます。
それこそ、第一話の時の再現のような感じですが、
事件に対応する佐織の熟練度が違います。
話が大きくなっていきますが、彼女の成長を考えると、
こうくるなというのが読めるんですが、
それは先が読みやすいと言うより、こうこなくては嘘だろうという展開で、
きちんとパズルのピースをはめてくれる展開が非常に心地よいです。
鷹瀬から受け継いだお守りのシーンは、
まさにそういう感じでした。


各話ごとにインターミッションから後日談、閑話、外伝的な話が楽しめるので、
そちらを見る事で世界が広がって楽しめました。


総評
犬塚佐織を通して、彼女の出会った人たちとの絆や、彼女自身の成長。
そして、選択と決断。
とても上手くまとめられていて、理想的な短編に仕上がっています。
お守りだけでなく、精神を受け継いだ彼女の今後が、
幸多からんことを祈りたい気持ちになりました。