8/10



読んだ直後の感想としては、この物語は長くなるぞと(笑)。
悪く言えばあまりストーリー事態はあまり進展していない。
2巻はプリニウスを軸として、皇帝ネロや書記官エウクレス、
腕が立つけど奥さんに頭の上がらないフェリクスなど、
周辺人物のキャラ固めをしているので、
私としては非常に面白かったです。


テルマエで描かれた明るく清潔で、風呂があって楽しいローマという雰囲気ではなく、
娼館やら猥雑な街角、死体が転がっている路地裏を丹念に描いていて、
その辺りの目を背けたい部分への言及が実に興味深くあります。
皇帝ネロは……ちょっとカッコ良すぎますかね(笑)。
外見的にですが。
彼の肖像がなどをみると、酒食にふけって不健康だったせいか、
大分太ってた姿が残っているので。
これから、そうなるのかな。
ですが、キリスト教的には悪魔のように語られている彼は、
塩野七生さんのローマ人物語で読みましたが、
実際の所、繊細で芸術家肌の青年であったわけです。
それはプリニウスでも語られていて、
政務や政治的判断そっちのけで演劇や歌曲にのめり込むネロ。
暴君というより、梯子を外された駄目な二代目みたいで、
なにやら可愛そうになってきます。


ただ、ネロの死後、10数年後にプリニウスが亡くなっているので、
ネロの死は作中で避けて通れない事件なので、
それがどう描かれるのか気になります。