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冥王神話の前日譚となる外伝シリーズも(一部後日譚もありますが)、今回でひとまず終わります。
星矢世界が広がって、手代木先生も冥王神話の連載から間もなく、
新たな連載で本当にお疲れ様でした。次に来る双子の爺さん達の外伝も楽しみにしています。


13・14巻と主人公は牡羊座のシオンでした。
星矢を読んだ方にはなじみ深い、本編にも登場したムウの師であり、
教皇として長らく聖域を守り、五老峰の老師と同様、前聖戦を生き抜いた歴戦の強者。
なおかつ、冥王ハーデス編では、圧倒的な実力を誇り、
星矢達を導いたその姿は、まさしく偉大な聖闘士でした。
そんな彼も、前聖戦ではまだまだ若手の黄金聖闘士
彼がさらに未熟な、聖衣を得る前に起こった事件の顛末が印されています。
時の神カイロスとの因縁。
供に戦ったマニゴルド兄貴の、「神の分身」にすら歯が立たなかったという、苦い経験。
後々を考えると、この時の経験が生きて、本編でのあの強さがあったのかと思います。
そして、聖戦後の世界で、妄執に取り憑かれ蘇ったカイロスとの再戦。
アテナとテンマの一時の帰還が、なんとも……星矢らしい表現で、
ああ、そうだよな、そうだよな、という気持ちもありつつ、
元気な彼らと言葉を一言でもかわすシオンが見たかった気持ちもあり、
なんとも複雑でした。


そして、巻末の付録。
ハーデスに復活させられ、冥闘士の尖兵として聖域へ赴くシオン。
その彼の目の前には、前聖戦で戦った仲間達の姿が。
それらを背負ったシオンの背中は、まさしく教皇としての意志が感じられ、
こうして物語は続くんだなと感慨深いシーンでした。


黄金聖闘士として成長を遂げたテネオや、ユズリハ外伝も収録されていて、
一息ついた感じもありますが、次も楽しみにしています。
それにしても、2015年にも星矢読んでるとは、当時は思ってなかっただろうなと。