シナリオ名 :ストレンジャー シスターズ・ノイズ(4話)
製作者   :philoさん
HP: 伯陽堂 http://homepage2.nifty.com/zhuang-zhou/




これまで残虐な殺人者であった一方通行サイドにも光が当てられます。
この一方通行の過去や、生い立ち、彼自身の虚無感にも似た諦めは、
本編ではもっと後になって明らかになり、スピンオフの超電磁砲でも補完されました。
掘り下げ方としては、更に一歩、一方通行に寄り添った感じがけっこう好みです。
彼は可愛そうだったという感じではなくて、その過ごしてきた状況を並べて行く中で、
自然と悲哀が出てくるような印象を受けたので。
私には、成長していく過程で、うつむいて顔が映らない一方通行の姿が見えた気がします。


戦闘では利根川先生が、Fuck youを繰り出し、
妹達を陣頭に出してくる策士っぷりでしたが、一方通行を先に討つという瀬里奈の機転が功を奏しました。
この一回目の戦闘は特に問題無く進みます。
二回目の戦闘は、美琴・瀬里奈・上条さんの三人で一方通行と戦うのですが、
一通さんが負傷した妹を優先的に狙ってしまうので、びっくりしました(笑)。
別に妹が倒されても進行にまったく影響しないのですが、一方通行っぽくないなーと(笑)。
前口上的にあれはらしくないので、全ターン隠れ身SPを作って妹にかけておいた方がいいかもしれません。


一方通行を倒した後、彼の抹殺を瀬里奈がいいだしたので、
一悶着起こるのですが、そこに赤威水星が姿を現します。
SRC学園時代にも、彼女に好意的な人が見受けられましたが、私はそうではなかったりします。
結局の所は、争乱の首謀者であるわけですから。この辺りは設定が組まれていないので、
使う人が細かく作ってもいいと思います。
一方通行が説得に応じて、姿を消します。
この世界の彼は、能力に制限を受けることなく、打ち止めと暮らしていく事になるわけなので、
どうなるのかなとは思いますが、原作で起こった以後の苦難が魔術が出てくるまでかなり楽になりそうではあります(笑)。


超電磁砲や、禁書目録本編での一方通行編の不満というのは、
当事者である美琴に問題解決の手段がないということでした。
禁書目録では上条さんが主人公なので仕方ないのですが、超電磁砲は美琴が主人公の話です。
そこでも上条さんに助けられるだけでは、主人公という言葉の定義を考え直す必要があると思ってしまいます(笑)。
なので、木原神拳修得という離れ業でその辺りを収束させたのは、とてもいいやり方だったのではないかと思います。
先日、ツイッターで見かけた意見で、「完璧な原作は二次創作を作る気が起こらない」という事を言ってる人がいましたが、
なるほど、確かにそうだな、と。
ただ、二次創作を作る気が起こる、「完璧ではない原作(色々隙の多い原作)」が、完璧な原作より劣るのか?
というと、私はそうではないと思います。
東方シリーズは、大雑把な事件を作って、登場するキャラクターの設定や深読みするような部分を儲けますが、
公式であまり掘り下げを深くしてはいきません。そこに想像する余地、楽しみがあるからです。
スターウォーズもかなり大雑把なストーリーですが、チラッと写ったキャラクターにも
「奴隷にされて日比辛酸をなめていたが、脱出計画を建てた矢先、主人公に邪魔されて死んだ」
という知らなくても映画の視聴に関係無い膨大な設定、サブストーリーがあります。
だからこそ、長い間愛されてきたのだと思います。
翻って、昔の漫画はどうでしょうか。色々隙が多いですし、整合性が付かない事があります。
前のページで生きてたウルフマンが、次のページで死んでたり、リングの上で戦ってるジェロニモが、
リングサイドで声援を送っていたりします。でも、そんなキン肉マンが大好きです。
完璧とは、死と同義語だと思っています。そこで、終わり。足すことも引くこともない、できない。
私は完璧ではない原作が大好きです。想像する余地が、遊ぶ庭を読者に与えてくれるのですから。


インターミッションに行けたので5話があるのかなと思ったら、エピローグがあるようですので、
そちらもまったり楽しみにしております。
妹編は大変な物語だったと思いますので、お疲れ様でしたといいたいです。