傑作だろう? 今は妖が人間を目指す時代だよ!

結界師 7巻

私の予測では、10巻くらいまで烏森にやってくる妖を撃退する…というパターン+学校生活や日常のできごとをからめた、ほのぼの退魔ストーリーが展開されると思っていたのですが、最近の急展開にはちょっと驚いています。なんていうか、結界師には似合わないような感じもするのですが(笑)。

正守兄貴が、あまりにも挙動不審だったので怪しいとは思っていたのですが、どうやら真に家族の事や烏森のことを考えているようで…。裏会の幹部に上り詰め、上層部から烏森への権限を合法的に手に入れ、烏森を守るために彼は彼なりの戦いを続けていくようです。良守が正守兄貴が苦手なのはわかります。精神年齢があまりにも違いすぎます。あまりにも老けているのであれなんですが(笑)、兄貴は確か20歳だったはずです。彼は現時点では良守より術者として優れていますし、携帯電話で会話しつつ、あっさりと妖を倒した手腕から、戦闘経験も豊富であることがわかります。ただ、それほどの力を見せる正守ですら、正統後継者の証である『□』の印が、身体に浮かび上がってくることはありませんでした。時音の父親の例を引き合いにだすまでもなく、正統後継者の証がでた人間に対して、というよりその印がでないことに負い目を感じる人が、雪村・墨村両家には必ずでてくることになります。特に正守は長男です。その彼を押しのけて、良守に正統後継者の印がでてしまったことは、彼にとって非常に衝撃的なできごとであったはずです。その後、どういった過程を経て、夜行へ入ったのかは知りませんが、推測するに、その裏会内部に入ることによって、外側から見た烏森の危機…というものに気が付いてしまったのではないでしょうか。だから、夜未を使って烏森を急襲させたり、自身が赴いて、良守の力を計り、彼の甘さを断じたりするような行動をとったのではないでしょうか。

で、結局正守兄貴は、漫画的なカテゴリー分けをするのなら、「師匠系ライバル」ということになるでしょう。良守より技量が高く、術者として優れているだけでなく、彼に烏森の今後についてのきちんとした腹づもりを、切り込んで訪ねてくる…という立ち位置ですから。ああ、ライバル…は恐らく限ってことになるのでしょうが、良守と同系統のキャラなので、反発しつつもいい友達になりそうです。話が逸れましたけど、できれば正守兄貴と良守に、兄弟対決をちょーっと行って欲しいのですよね(笑)。お父さんが術者出はない以上、肉親で乗り越えないといけない術者は、爺さんもそうですが(笑)、精神的な面から見ても正守兄貴であると思うのです。