たのむぞ、たのむぞ、深道!

by 尾形小路

エアマスター 26巻

エアマスター 26 (ジェッツコミックス)

エアマスター 26 (ジェッツコミックス)

 深道ってもっと冷めた人間を想像していたんですよね。何か戦うことではない目的(学究的で体育会系ではない)があって、そのためにストリートファイトを利用していると。まあ、最初は「俺の代で渺茫を倒してみたい」というそんな好奇心からだったのかもしれませんが、祭の余韻に当てられた深道は「終われるか…!? 終われないっ!」と深道オンボロパーティーを結成し(笑)、渺茫に立ち向かっていきます。窮鼠猫を噛むという言葉がありますが、そんなありふれた慣用句の通りの展開で、渺茫に痛撃を与えていく元敗残者の挑戦者達。でも、やはり力が及ばず、渺茫の前に一人、また一人と倒れていきます。屋敷(実は後で意識が回復する)・カイ・月雄。そして、予想外にものすごく健闘した尾形小路。彼らの期待を受け、「ユルイ時代にユルイ場所に生まれた鬱憤の塊」である深道が、最強という歴史である渺茫に立ち向かっていきます。連載を読んでいるので、この先がどうなるか、次の戦いがどう始まるか知っているんですけど、いやー、ページめくる時に焦って手が滑るなんて、久しぶりで驚きました。不満点はありますが、やはりヨクサル先生の漫画力は大したモノです。

…欲を言えば、カイの玉砕はもうちょっと格好よくしてほしかったなぁーと。いえ、藪沢くんへの憧れを原動力にしてもいいんですが、できれば「マキシマムッ!スカイツイスター・プレスッ!」とかそんな感じで、アイドルオタクを牽引材料として、プロレスの誇りを呼び覚まし、その小宇宙(笑)で渺茫に一撃食らわして欲しかったのです。あれだと、藪沢萌えしたまま玉砕したように見えて(笑)。熱くていいんだけど、ちょっとここが不満ですかね。