とある魔術の禁書目録1〜2

読んでにゃるぺそ。続刊が大量に出ているだけはあるかと思うわけです。確かに面白い。同じ素材を与えられて、かつての大家であった角川紐靴に、こう書き上げられる人材が、現在いるかといえば…どうかね(笑)。挿絵もかわいらしいし、魔術と超能力というライトノベル要素にわかりやすく出展や裏づけを薀蓄でつけて、主人公は「欠点が多いけど、自分の専門分野では絶対負けない」系。うむ。上条の無鉄砲さというか、「出会ったばかりの女のこのために命をかけられる潔さ」は、思春期の少年特有の大人から見れば自殺願望にも似た、さらに磨耗した私からすれば眩しく尊いものに見えるというか。彼の無鉄砲さは、幻想殺しに由来するところが大なのでしょうけど、Fate/stay night衛宮士郎に似通った部分があると、私などは感じました。士郎が幼い頃からの誓いで行動するのに対して、きわめて純粋な正義感(弱いものをかわいそうに思うetc…)から脊椎反射的に行動している上条は、思春期のひねた世代に「ちっ、正義の味方とかいってんじゃねーよ。ウザッ」にも、受け入れられると思います。だって、ほら、人間突発的な事態にはそれを咀嚼・理解することができなくて佇むか、理解して恐怖で動けなくなるかどちらかなわけです。そこで行動するのは、できるのは、訓練を施された人間であるわけで。兵隊さんとか警官とか消防士さんとかね。交通事故やらなにやらでも正しい行動がとれるかどうかなのに、ゾンビやら魔術が飛び交ったりしたらあなた、それはどーしよーもないわけです。前述した訓練された人間でも右往左往どころか、その幻想に飲まれてしまう他はないでしょう。だから、そこで──無力化できるとしても、特別な訓練を受けたわけでもないのに──立ちふさがって、誰かを守れる上条には確かに主人公足りえる資質があると思います。…関係ないけど、もしかしてきのこたんは、士郎をわざと共感できない、しずらい信条の持ち主として設定した、っていうことなのかな。

まだ、2巻までしか読んでないけれど、水槽の中からステイル・マグヌスに話しかけたアレイスターっていう学園都市の理事長様。もしかして、いや、もしかしなくてもアレイスター・クロウリーなのかな。本物の。というか、中島朱美的な思考(魔術と科学は極めて酷似しており、魔術の儀式は数値化に馴染むがゆえに、科学を以って実現不可能な魔術を行うことができる。悪魔召喚とか)っていうことで、科学から超能力者選ばれた超人を集めているんじゃ。

ああ、そういえばひとつ思い出したのですけど、「神様の奇跡でも打ち消せる」っていうのはよく作中で出てきますけど、
これは比喩ではなくて、実際に上条がそういう事態に遭遇したんじゃないでしょうか。いや、なんかそんな気がしただけなのですけどね。
じゃないと、やってもいないのに、そんな台詞を口にするのはちょっと、自信過剰にすぎると思うわけです。ええ、ちょっとね。