:「魔神王の娘 外伝〜ある少年の姉の告発〜」

製作者   :alwさん
HP: 伯陽堂 http://hakuyou.la.coocan.jp/srcF/srctoukou.htm




モブ顔になる呪いの下りで「ああ、ギャグっぽいシナリオなのかな」と思わせておいて、
実は復讐について色々と考えさせられるシナリオでした。
敵対してきた相手の事をどこまで考えられるかという部分では、
そんな相手すら憎まず救うというのは神の所行であり、
相手の事情を全部考慮してあげるというのも人を超越した領域の事だと思います。
ただ、そういった部分を全部捨ててしまわず、
それを頭の片隅においておくことが、必要な場合もあり必要な人もいるのでしょう。
拒絶もせず、無視もせず、ただ知っておくのです。
クレーメと彼女の一件はそうであったのだと思います。


クレーメの中に眠る力は、恐らくそれを比喩的な表現として示しているのかなと考えました。
クレーメの光の力は、彼女の母親や魔神と呼ばれる存在に効果的であったりします。
で、あるならば魔神の力として宿るものを拒絶して、光の力を振るうのかというのもまた違うのでしょう。
それを頭の片隅において、忘れることなくその力を知っておく。
知っている事になんの力があるのかというと、
知らない事をゼロだとするなら、知っていると言う事は1であり、
その差は極めて大きいモノになります。
ゼロはゼロをかけてもゼロですが、1は積み重ねて行くうちに、
2となり3となり、いずれ10となり、100となるかもしれません。
その積み重ねた100が、危機に陥った時、心を支えてくれるでしょう。
逃げずに立ち向かい、乗り越えて、知った時、それは力になります。
取り返しの付かない事もありますが、今回、クレーメはそれを得たのではないでしょうか。


綺麗にするっと入ってきた見事な番外編でした。
普通にこの後のストーリーに繋がってる感じがまた(笑)。