邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)

邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)

やはり、藤田和日郎先生の漫画は熱い。
冒頭から爺さんが、正体不明の生物を血を流しながら撃っている。
凡百の漫画家なら、爺さんを出すと口にした瞬間に、担当編集者から昇竜拳を食らっているだろう。
だが、藤田和日郎ならば許される。
その邪眼に見られた者を瞬殺するフクロウが、いきなり日本国民を420万人も殺害した。
かけだしの漫画家がこんなことをしようとすれば、きっと編集長がビルの頂上から彼を突き落とすに違いない。
だが、藤田和日郎ならば許される。
藤田和日郎は特別なのだ。彼は彼がこよなく愛する漫画に、最も愛された男なのだ。

というわけで面白かったです(笑)。
うしおととらからくりサーカスのような長編を書きあげる腕力も大好きですが、
こうした木目細やかかつ、豪腕っぷりを如何なく発揮する短編を書き上げる漫画力が素晴らしい。

登場人物の葛藤や、素直になれないこだわり、邪眼のミネルヴァの脅威、
それらを巧に配置しているせいで、短くはない話なのですが、ほとんど一気に読めました。
ラストもいい雰囲気ですし、エピローグも私好みでした。
こんな感じで、また集中連載してもらえませんかね(笑)。いや、みんな待っていると思いますよ、ええ、本当に。

最後に、輪ちゃんは私の嫁です。輪、可愛いよ輪(笑)。