- 作者: 冨士宏
- 出版社/メーカー: マッグガーデン
- 発売日: 2009/01/10
- メディア: コミック
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評価 9/10
ずっと探していたのですが、やはり最終的にアマゾン様に頼ることになりました。
実に面白く、かつてファミコン版のワルキューレの冒険をプレイした気持ちになったわけですが、
それだけにちょっと残念な事がありました。
最初から用意された冊数が、ワルキューレの降誕と同じ2冊分。
……うわ、2冊じゃ無理でしょう。最低でも4冊分くらいの冊数がないと。
正直、マックガーデンはこの一件だけで、私を怒らせました。
でも、商業的にはおっさんホイホイで、採算が取れないのでしょうかね。
まあ、そういう裏事情はともかく、お話自体はとても面白く、
かつてワルキューレの冒険の説明書で語られていた、
「時の鍵」を抜いた愚かな人間=カロンの苦悩と苦闘の日々が描かれています。
カロンは重病で死に瀕している恋人を救うために、
人々に寿命を与えている時の鍵を抜き去ることで、封印されていたゾウナを解き放ってしまいます。
ワルキューレとカロンの二つの視点の物語となっているのですが、
カロンがまるで主人公であるかのような感じになっています。
最後、彼は魔物と化し、愛した人が救われたことすら知らずに、
時の鍵が戻った音を聞きながら息絶えます。
……あまりにも報われません。
ただ、この哀しさや彼への感情移入が、「時の鍵」を抜いた愚かな人間、
と一言で説明されていたことと相まって、
無常というか妙にしんみりした心持ちになりました。
冨士先生が、カロンに限られた紙面を割いて伝えたかったことは、
先生の意図そのままかはわかりませんが、
その幾ばくかは私に伝わったと信じたいです。
しかし、このストーリーのワルキューレが強い事強い事。
降誕の時は未熟でしたが、彼女なりの哲学ができているようで、
まさしくその姿は、人々に優しい私が好きな神様でした。
天上界の神々が、大女神様やヴィオレットを除いて、
かなり私の嫌いなタイプの傲慢な連中だったので、
それも相まってか非常に親近感がわきました。
……ワルキューレはやはりこのタイプがいいかなと(笑)。