疵痕〜花山薫任侠伝〜反省会


かなり長い文章なので、お時間があれば見てみて下さい。
自分なりの反省点をまとめてみました。


参考になるかどうかは分かりませんが、
長編をこれから作ろうとしている方は、
こういう部分が大変だという参考として、
ご覧になってもいいかもしれません。




1.長編シナリオを製作を甘く見ていた。
これまで私が作ったシナリオで、最長話数がリンと凛の42話です。
それが一番長いシナリオでした。
なぜ、それより長いシナリオを作ろうと思ったのか。
リンと凛の42話というのも、けっこう製作に苦労しました。
当初の構想通りにいかなかったり、企画段階でアイコンがなくて、
諦めたキャラクターも多々いました。
やり残したこと、もうちょっと上手くやれたんじゃないか、
そういう後悔の念があったわけです。
それがずっと心にひっかかっていた部分があったのでしょう。
次のシナリオの事を考えているときに、
「長編シナリオで、60話くらいなら、やりたいこと全部詰め込めるかな」
などと思ってしまったのが駄目でした。



やりたいことって、尽きないんですよ。



長編というのはその名の通り長く続くストーリーなので、
当然、製作には時間がかかってしまうわけです。
となると、その間、アニメ・小説・漫画・映画などなどから、
数多く影響を受けて、そこからキャラクターやエピソードを、
お話に登場させてみたくなってしまう。
一番最初に作ったプロットと、それにプラスアルファした展開を、
やってみたくなってしまうという危険な罠が押し寄せてきたりします。
その誘惑が強烈すぎて、何人か予定にないキャラを出したり、
予定通りではない展開を入れたため、軌道修正に色々と時間がかかりました。


当たり前の話をするんですが、長編シナリオの完結を目指すのなら、
ほとんど完成させてから出した方がいいです。
もっというと、上記の誘惑に負けたとしても、
「……ほとんど完成してるから、手を加えようもないよね」
となるくらい完成させてから出そうということです。
作品製作を思いついたその直後の情熱のままに、
全60話なら40話くらいまでは完成させた方がいいです。
普通の30話くらいのシナリオと同じように、
7話ちょっと作っただけでリリースしちゃいけません(ここ経験談です)。
人間、いつもいつも体調がいいわけでもないですし、
精神的に疲れている場合もあるので、気が弱くなったりもします。
完結を目指すのなら、情熱とパワーがある時期に、
一気に進めてしまうのがいいでしょう。
2009年にスタートして、こんなに時間がかかってしまいました。
本来なら、二年で完結させる予定だったのでした。
キャラクターや展開の追加は、修正するのにとても時間がかかってしまいます。
単純に私が下手って部分もありますが。



2.アイコンは全部揃えろ
私のパイロットアイコン製作能力が向上(Lv1だったやつがLv3になった程度ですが)したので、
色々なキャラ・絵柄が描けるようになったり、
初期に描いたアイコンをリファインしたりしてました。
この作業が、さらに時間を食ってシナリオの完成が遅れました。
アイコン作っていて感じた事なのですが、
創作するときの意欲や原動力などを、創作エネルギーと呼んでみましょうか。
それって、シナリオ作りも、アイコン作りも同じ所から出てるんですよね。
少なくとも、私はそうでした。


アイコンを完成させる→創作エネルギーが無くなる→シナリオ止まる


がちょくちょくありました。


あと、折角なので話しておきます。
カオスな参戦作品と言われた私のシナリオですが、
実は疵痕以前のシナリオには、明確な参戦基準があります。


パイロットアイコンが、どっかに(パックでも個人サイトさんでも)あることです。


シナリオ作り始めた頃は、パイロットアイコン描けませんでしたから。
その作品で、ストーリー上使いたいキャラを何人かピックアップして、
アイコンのあるキャラクターを選んで採用してました。
ユニットは自分で幾らでも描けるので。


今後の課題として、素材は出来る限り完璧に揃えてから、
シナリオを始めた方が良さそうです。


3.物語の目的、伏線について
正直、すごい失敗しました。
簡単にいうと、自分で持て余していて、何度軌道修正しようと頑張りましたが、
アホが考えた複雑な話になってしまって、
それを色々考えて継ぎ足し継ぎ足しで修正する事が続き、
描いていて上手く行くと楽しかったのですが、その楽しい所へいくまで辛かったです。
色々上手くいって書きやすかったのは、
聖武会とA21の辺りくらいまででしょうか。
以後は、「思った展開の8割くらいにはなったな」っていう話が3話に1話あるくらいで、
こう、潜水しながら苦しいのを我慢して、息継ぎをするような感じで作っていました。
初期疵痕の単純な構造、単純な対立の図式をずっとやっていければよかったのです。
だから、なんとか引き戻そうと、尸魂界編は明快にしたことで、
最終章が書ける精神状態にまで戻りました。


原因としては、先程言っていた創作エネルギーの総量の低下に、
私自身が、まったく気づいてなかったってことです。
なおかつ、素材作りも並行してやっていたので、
前述のアイコン描いて→創作エネルギー枯渇→シナリオ止まる、
って事が頻繁に起こってしまいました。
なので、シナリオ製作時に考えていた伏線を、
二ヶ月後くらいに創作エネルギーが復活した頃に書き始めると、
その消化方法を忘れているんですよね。
メモしておいたんですが、それに至った思考が思い出せないので、
数式の答えだけ存在して、解法を記せって状態でしょうか。
答えだけじゃ分かるわけがないので、また別の解法を作る必要があります。
最初から話を作り直すようなものなので、シナリオを書くのに時間がかかるんですよね。


あと、個別に貰ったメールでお返事したのですが、
分かりにくく無駄に複雑な話もあったので、それはただただ反省しきりです。
長編の場合、物語を貫く大きな目的(魔王を倒す、親の敵を取る、国を取り戻す)と、
それを解消するための伏線たち。
個々の章における目的(街の強盗団を倒す、船を得るために海賊を倒す)とが、
入り組んでしまって無駄に複雑になって、実は書いてる私も混乱してました。


対策として今後は、もっと話をシンプルにして、
そぎ落として複雑を悪とし、単純を良として話作りをしていきたいと思います。
記憶力もそうですが、脳力自体も落ちてるので細かい事覚えてられないから、
そういう部分で自分の身の丈にあったストーリーにしていきたいと思います。


4.キャラクターの運用について
何人か起用して失敗したと思ったキャラクターもいます。
物語が回りづらくなってしまった、物語の潤滑役を期待してたのに、
それになってくれないとか。
そのキャラクターの魅力を引き出せなかったり。
単純に私に能力がないという部分もあって、
キャラクターに申し訳ないと思う部分が、多々ありました。
これについても考えましたが、
例えば登場させるキャラクターの基本的な信念と目的をしっかりと決めて、
それをキャラクターごとに記述しておいて運用してやればいいかなと。
もう、自分の記憶力とか宛にならないです。
具体的には、


例)
ウルヴァリン
信念:無頼・スタンドプレー・権力や上からの命令に従わない。
目的:かつての妻の真の仇(ウルヴァリンストーカーのロミュラスさんあたり)が見つかったので来日。
課題:娘、X−23との仲を改善する。


こういうキャラクターについてのメモを作っておいて、
それを見ながら進展状況や、目的を常にきちんと把握しながら進めていかないと駄目みたいです。
最初は一人で勝手に行動する、自分の目的の為に味方と対立する迷惑なおっさん。
だけどX−23を大切に思ってはいるけど、関係はぎくしゃくしていて、
上手い距離感が掴めずに悩む父親的な面も合わせ持つ。
そんなウルヴァリン像を作って、ロミュラスの部下を倒して行く中で、
ウルヴァリンの好感度をあげて、X−23と仲良くなるイベントを成功させることで、
信頼を勝ち取っていくことで……。


びふぉー
Talk ウルヴァリン
てめぇらの言う事はきけねぇな。俺は俺のやりたいようにやる!
End

あふたー
Talk ウルヴァリン
俺がいなきゃ駄目みてぇだな(そっぽ向きながら)
End


みたいな流れが自然に作れていくようになるんじゃないかと。
実は、シナリオ作ってる間に目的変わったキャラいたりしましたので。
シナリオ進行に必要なキャラクター、議題の進行、議題の補足、
議題についての質問(プレイヤー側視点)、議題の中心のキャラで、
もう完全に会話するキャラクターを絞ってもいいかなと。


あと、花山兄貴は、もっと喋らせてもよかったと思いました。
正直にいうと、最初の新宿任侠伝で、
花山薫はこんなに喋らないと言われたのが頭に来てました。
だから、徹底的に喋らせないぞと思って、自分自身に枷をかけて、
務めて喋らせないようにしたのですが、愚かな行為でした。
疵面を見る限り、知識はそんなになくても、
人を視る目で議題の重要さ、空気・気配を敏感に察知する人物に見えました。
嘘を言ってる人や、怪しい人間を見破ったりしましたし。
シナリオ上で、TOPということもあって、
優秀な補佐がいて、周りの人間が意見を出し合って、
最終的な方針の決定をして、事態の責任をとる立ち位置にしました。
ただ、だとしても、もうちょい喋らせてあげればよかったなぁと。
創面だと、かなり長い台詞も喋ってますし、実は原作だと、
最近饒舌になってきてます(笑)。


あとは、花山兄貴の身体能力や漢度で度肝を抜くような展開を、
随所に入れてあげればよかったなぁと。
ちょこちょこ入れたんですが、もっとその頻度をあげてあげれば。
まだまだ、そういうシーンを入れられる余地があったんじゃないかと。


5.インターミッションのフリーバトルを甘く見ていた。
Lvがあがりすぎるんですよね……。
経験値入らなくて、アイテム貰えるだけでもいいかもしれません。
本当、何度、新宿周遊を消してやろうかと思いました。
こういうシステム的な部分は、私には優れた感覚がない部分なので、
恥を忍んででも、もっと多くの人にテストプレイをしていただき、
意見を貰った方がよかったと思います。
とても一人では調整しきれないです。
私個人の感情として、自分で好き勝手にやっているものなので、
人に頼って意見を貰うのはよっぽど困ったときでないとよくないと、
そう思っているところがありました。
けれども、自分の感覚が信用ならない部分では、
他の方の意見を参考にして修正していく柔軟さが必要なのではないかと、
頑固な私もいい加減理解してきました。


あと、辞典はもうつけないかも。シナリオが遅れる原因です、あれ。
つけるなら、最初に全部書いておくとかしないと、
更新しながらは苦行に近いモノがあります。
いっそ、シナリオ外に説明書HTMLでも作って、
そこでキャラクター説明してもいいかなと思っています。


総評
完結はしましたが、ものすごく多くの課題をつきつけられた感じです。
自分の未熟と向き合って、どうにも顔を背けたい気分ですが、
向き合って色々と改善していくように務めていきたいです。
正直なところ、人の評価とかは気にしていないというか、
根源的な部分では私はそういうのどうでもよかったりします。
褒めて貰えば嬉しいですけれども(笑)。
まず、自分で納得がいかない部分があるので、大雑把ですが洗い出してみた感じです。


自分が感じたその創作物に対しての納得がいく、いかないという感覚。
これって、私のあてにならない感覚の中では信頼がおけるもので、
私自身の納得率が高いほど評判がよくて、納得率が低いほど「あ、駄目だな」って思うと、
やっぱり駄目だったりしましたので、まず、自分の納得率を上げられるようにしたいと思っています。
瓦敬助先生が菜々子さんの後書きで、「勘と瞬発力」だけで書いてきて、
理論を身につけて上手く描けるようになったけど、今度は瞬発力がなくなって、
欠けた瞬発力を取り戻す苦労を書いていました。
私もシナリオ作りのセオリーとか、自分の中の流れ的なものができてしまったり、
多少インクルを作れるようになって、アイコンも描けるようになりましたが、
最初の頃の瞬発力が無くなってしまったなぁと。
それを取り戻すために、ちょっと努力してみたいと思います。


新しいシナリオの準備も始めていますが、
現行のSRCでそのままいくのか、
新たな媒体になるのかはちょっとまだ分からないですかね。
なので、アイコンやTalk分書きを貯め込んでいこうかと思います。


取り留めのない文章を最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。