評価 4/10



金星堂。そう呼ばれる建物には、二人の姉妹が住んでいる。
姉の名は明日葉。妹の名は今宵。
彼らはペイン────『痛み』を余剰に得、そして失った。
痛みを余剰に得た姉は、敵を貫く意志を持った。
痛みを失った妹は、全てを受け入れる心を持った。


姉妹が住む街には、【寓話】にまつわる怪事件が後を絶たない。
その根底には、必ず【彼ら】がいる。人間を食い物にする【彼ら】が。
姉妹と【彼ら】の交わるこの物語に【冥王星】の救いはない。
姉妹はただ、『痛み』と供に敵を討つ。


カバー裏 あらすじより


実は先日、ダーク・サイドと一緒にアマゾンで購入した本で、
ダーク・サイドが残念だった場合、これで癒そうと思った(笑)一冊でした。
だた、実際の所逆になったとまではいきませんが、期待は裏切られてしまいました。


上記のあらすじの通り、二人の姉妹が主人公で、
彼女達に不思議な依頼を持っていった少年・遼一の視点で、
物語が進んでいきます。
最初、エピローグから物語が始まるので、
かなりわくわくして話を読み進めました。
どんな物語が繰り広げられるんだろうか、と。


簡単に言うと、【彼ら】という魔物に感覚を奪われ、余分に与えられた姉妹は、
姉・明日葉は痛みを赤い光の爪として顕現させる事ができ、
妹・今宵は失った感覚を利用して、【彼ら】を、
ぬいぐるみに封じ込めることができる力を持っています。


第一章・第二章・第三章で、様々な【彼ら】が引き起こす事件を解決し、
第四章でそれらが収束し、
なんとエンディングがプロローグになっているのですが、
恐らくはそのエンディングをプロローグにするというギミックにのみ固執してしまって、
その終わりの形に当てはめるために、第一章から第三章までがあまり面白くはなかったのです。
簡単に言うと、事件と【彼ら】を演出しすぎて、明日葉や今宵のキャラが立ってないんです。
折角三章もあるのだから、一章で姉を、二章で妹、三章で二人の絆を、
遼一が垣間見る形にしてあげれば、第四章の話がもっと面白くて、
感情移入できるモノになったのではないかと思って、悔やまれます。


最初、アマゾンのレビューをちらっとみたとき、
この冥王星シリーズは星が多く付いていて、
「ああ、ならば安心だな」と
表紙のお姉さんがエロかったので買ってみたのですが、
まんまとひっかったというか(笑)。
実はこのシリーズは、覆面作家越前魔太郎が書いていて、
中の人が毎回違うので、本によってまったく評価が違ったわけです。


本が届いたその日にみたとき、星一つのレビューがついたんです。
その人レビューを書いた人は憤っていました。
彼が憤っていた理由は、冥王星シリーズは覆面作家が書いているから、
毎回違う作家(もちろん有名作家)が楽しめるのに、無名作家だから頭に来たという内容でした。
私は、別に無名作家でもなんでも、そんな事はどうでもいいんです。
残念だなと思ったのは、単純に良い素材と、有名作家との連作と言うことで、
多くの人の手にとって貰える環境にあるというのに、
用意した素材を上手く生かすことができなかったことだけです。
イラストもとても綺麗で、挿絵も良くて、明日葉さんはいいおっぱいをしているというのに。


出だし、すごく惹かれただけに、残念でなりません。