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長い戦いに終止符が打たれました。
久遠の落日は防がれ、第三次世界大戦は起こることなく世界は平穏な時を取り戻したわけです。
ケンイチが達人になれそうな予兆で完結したのですが、
最終話のシーンは未来のようで、恐らくそこにいる彼は達人に成っているのでしょう。
白浜兼一というのは、物語の主人公として、一個の完成形ではないかと私は思っています。
人間として完璧であるとか、そういう話ではありません。
主人公というのは、物語をひっぱっていく人で、大きく成長していく人物なわけです。
色々と変化していくことも、変わらないで欲しい部分が変わってしまうこともあるでしょう。
ケンイチは、格闘技の実力をつけて、身体的に強靱になっていったのに、
おごることなく(調子にのったりすることはありますが)、増長したり嫌な人格にならず、
最後まで彼自身の信念を、貫き通しました。
それでいて、情けない部分や、おっちょこちょいな所は相変わらずで、
愛すべき主人公であるといえると思います。


長い連載で、私は月刊誌の頃からの付き合いでしたが、
松江名先生にはお疲れ様でしたと声をかけてあげたいです。
しかし、闇の達人たちとの因縁やら、色々と片づいてないことが多いですよね(笑)。
その辺りは、私達読者に「ケンイチの世界で遊んでください」と先生がくれたプレゼントとして、
素直に受け取っておいてもいいのかもしれません。
今回、先生のカバー裏の言葉は、
「……話は終わっても、物語は無くならない」
でした。最終回の未来図にあったように、彼ら登場人物の世界は、
無限に広がっているのだと思います。


書き下ろしで長老と美雲の対話がありましたが、
やはりこの二人は仲がいいんじゃないかなーと(笑)。
先生、長い間楽しませて下さってありがとうございました。






































−−ちょっと腑に落ちてない事−−
松江名先生はティダード編を例に挙げるまでもなく、
物語を丁寧に書き上げていく方だったので、終盤の駆け足に疑問が残っています。
やはり、そこが払拭されない限りは、私は小学館のコミックスを今後買わない事にしようと思っています。
雷句先生の件もそうですが、会社として代替の効かない才能に対して、
報いるに充分であるかと言われれば、まったく足りてないとしかいいようがありません。
ケンイチや松江名先生は好きです。
ですが、小学館は大嫌いです。それが、私の今後のスタンスです。