スーパーマン/バットマン:パブリック・エネミー (DC COMICS)
- 作者: ジェフ・ローブ,エド・マクギネス,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2016/02/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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10/10
もう、YOUたち結婚しちゃいなYOってくらいラブラブなクラークとバッツが見られてお腹一杯です(*´д`*)ハァハァ。
基本的にキャプテン・アメリカやスーパーマンの素朴な正義というのは、
いまの複雑化した社会において扱いづらい部分があり、割を食ってしまうことが多くて、
邦訳されたストーリーではスーパーマン=クラーク・ケントが悲しそうな顔をしている事がほとんどで、
彼の活躍を見る事は楽しいのですが、彼が肯定される戦いを見たいと常々思っていました。
長い歴史を誇るDCコミックスも、大規模なリニューアルの時が来て、何年か前に完全に一から物語を作り直すリランチを行いました。
それまでは、クラークとバッツは仲良く誕生日にご飯食べに行ったりしてたのですが、
リランチ以後はそんなこともなく、互いに一線を引いた関係でいたわけです。
そこから、ジャスティスリーグの結成を経て友情を育み、新たな信頼関係を築き上げる事に成功しました。
今回のストーリーも、レックス・ルーサー(クラークの長年の宿敵。ハゲ。)が、大統領になって合法的にクラークを追い詰めるという事で、
長年友人関係だったヒーローたちと戦わされるというピンチで、煽り文句にアメリカが二人の敵になったとあるように、
まさしくレバー入れ大ピンチな状況なのです。
ただ、件名にある通り、バッツはクラークを信じて真っ先に駆けつけるし、
クラークもバッツを信じて彼の力を素直に借りるのでなんの不安もなく読めました。
バッツ「S(スーパーマンのこと)、キャスリング(チェスでルークがキングと位置を入れ替えるルール)」
クラーク「待っていたぞ」
という短い言葉だけで、互いの相手を交換して翻弄するチームワークには惚れ惚れしました。
ヒーローの能力と人格を信じて、彼らの活躍と事件の収束を少年の用に喜べるストーリーの邦訳に、
時間を忘れて読みふけりました。実に愉しかった(*´д`*)ハァハァ。
ですが、彼ら二人のヒーローの活躍の裏に、キャプテン・アトムの犠牲があった事が衝撃的でした。
アトムはウォッチメンのドクター・マンハッタンのモチーフになったキャラクターで、
事故で命を落とした際に、原子を操る力を得たかなり強力なヒーローです。
ただ、人型のエネルギーの塊のような存在なので、人間らしい生活は難しいでしょう。
そんな彼が憧れたのは、スーパーマンことクラーク・ケントでした。
彼のようになりたいと希求し、地球を救うべく命を落としたキャプテン・アトム。
スーパーマン/バットマンという題名になってはいますが、
このストーリーの裏側ではキャプテン・アトムが自身のなすべきこと、
命の意味や意義を見つめ直して、次世代のために力を尽くす一個の人としての生き方が描かれ、
そこも非常に楽しませて貰いました。
クラークがディスられるばかりの邦訳に飽きた方。
どうぞ読んでみて下さい。あなたの望んだクラークとバッツがいますから。