ドリフターズ 3 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 3 (ヤングキングコミックス)


9/10


相変わらず面白くて、一気に読ませて頂きました。
情報量がもの凄く多くて、ネットを回ってみたら書き足しがけっこうあるようで、
その辺りを含めて大満足の一冊でした。


今回、信長が語っていましたが、別世界から来た人間がもたらす、
もっとも大きな恩恵もしくは、損害になりえるのが、
「思考の差異」であり、それが如実に現れたのが3巻でした。
日常的にあるのが当然で、その使い方が当たり前になっているものほど、
実は別の側面があって、その使い方をすると状況が劇的に変化したりします。
遠見の水晶球ならぬ、遠会話の水晶球やら、
石壁を作る札なども、それぞれの使い道が規定されていて、
それを常識として持っている人達は、それ以外の使い道を知らないものですが、
信長が指摘したように、離れた軍同士の意思伝達をスムーズにさせるということは、
軍の行動が非常にスピーディーになります。
例えば、馬を使って、軍勢同士の連絡・命令の伝達をしていたとします。
第一〜四まで軍勢があったとして、第一から伝達した命令が第4まで伝わって、
それが戻って来るまでに一時間かかったとしたら、もし伝達ミスが発生したなら、
さらに一時間浪費して仕舞うことになります。
あの水晶球は、リアルタイムで会話ができるので、その一時間を丸々使うことができます。
もし、敵軍が一斉に攻撃してくるのに一時間必要なのに対して、
こちらが一時間早く攻撃できるのなら、敵軍に命令が伝達されて統一された軍勢になる前、
単なる烏合の衆の時点で、敵を撃滅してしまうことができます。
これ、もの凄いアドバンテージです。


石壁の札って、いわゆるRPGの魔法なんですが、
コンピューターのRPGの魔法って、攻撃は攻撃、防御は防御にしか使えません。
そういうのではなくて、いわゆるTRPGの魔法のような、
効果ではなくその発生した現象を、実際どう扱うのかって感じになっています。
光の壁の魔法があって、敵の物理攻撃を防ぐバリアーの魔術があるとします。
物理攻撃を防げるって事は、物理的に存在しているってわけで、
騎兵が突撃してくるルートが分かってれば、そこに光の壁の魔法を展開させれば、
騎兵部隊に大打撃を与えることが出来るでしょう。


こういうその世界で慣れ親しまれたルールを、別世界の人間が見て、
新しい使い道を示すような事って、幾らでも存在すると思うので、
思考遊びでずーっと妄想に耽っていられそうなので、楽しいです。
小説では異世界に現在の技術を持ち込む物が流行ってますが、
漫画でやると視覚的にも面白くて、もっとこういう作品が増えると、
思考遊びが楽しめるなぁと思いました。


難点をいうならというか、一ファンとしていいたいです。
せめて、一年に一冊コミックスが出たら嬉しいのですが(笑)。
その辺りさっぴいて、9点にさせてもらいます。